営業キャッシュフローは直説法と間接法どちらで作るべき?

営業キャッシュフローは直説法と間接法どちらで作るべき?

営業キャッシュフローの直接法と間接法

会社経営に欠かせないものはお金です。当たり前ですね。

会社に必要な経営資源は「ヒト・モノ・カネ」ですが、最近は情報と時間が加わり「経営資源の5要素」と言われるようになりました。

ちなみに、「ヒト・モノ・カネ」はカタカナで書くことが一般的でしたが、情報と時間が加わったことで「人・物・金・情報・時間」と書くことが増えているようです。特に決まりはありません。

経営資源の5要素や経営資源の順番はとても大事な概念なので別の機会に譲るとして、今日は「金」です。

会社の会計、財務における資金の流れのことを「キャッシュフロー」と言いますね。キャッシュフローを把握することが、健全な会社経営には欠かせません。そこで「キャッシュフロー計算書」を見る必要があります。

会社の経営を正しく把握するためには、連続したお金の動きを把握する必要があります。そして、そのためにキャッシュフロー計算書でお金の流れを理解しなければいけません。

キャッシュフロー計算書、略してC/S(Cash Flow Statement)とは、企業の一会計期間のキャッシュ増減を営業キャッシュフロー・投資キャッシュフロー・財務キャッシュフローという3つの視点から見ることができる計算書類です。

参考:
営業・財務・投資を8分で理解するキャッシュフロー計算書の見方

このキャッシュフロー計算書で一番重要な指標が営業キャッシュフローです。なぜなら営業キャッシュフローは、会社が商品販売などの本業で得た利益(損益)の量を表すからです。

営業キャッシュフローを作成する方法には直接法と間接法があり、私たちはどちらかの方法で営業キャッシュフロー表を作り、キャッシュの流れをわかりやすくしなければいけません。

そこで今回は、営業キャッシュフロー表を作成する「直接法」と「間接法」のどちらを選ぶべきか、メリット・デメリットを見ていきたいと思います。

営業キャッシュフローの直接法とは

営業キャッシュフローの直接法とは、営業活動によるキャッシュの収入や支出を足し引きして差額で記載する方法のことです。

直説法は、営業収入、仕入支出、人件費支出というように、資金の「収入」と「支出」を項目ごとにひとまとめにして、営業キャッシュフロー表に記載します。

直説法のメリット

直説法は、営業キャッシュフローを構成する項目に関して収支の全体が把握しやすいメリットがあります。項目ごとの収支がわかりやすいため、将来のキャッシュフローが直感的に予測しやすくなります。

また、国際基準のIFRSでは直説法が推奨されています。

IFRS(International Financial Reporting Standards)とは、国際会計基準審議会(IASB)によって設定された会計基準の総称です。従来、会計制度は国ごとに異なるのが当然と考えられてきました。しかし資本市場のグローバル化に伴い、各国で採用している会計基準では企業活動の国際間比較が次第に困難となった結果、会計基準の国際的統一が模索されています。その中心にあるのが、IFRSです。

参考:
IFRS | 日本公認会計士協会

直説法のデメリット

直説法は、営業活動の各項目の収入・支出を足し引きしてまとめてから記載するため、間接法より作成に手間がかかるデメリットがあります。

営業キャッシュフローの間接法とは

営業キャッシュフローの間接法とは、損益計算書の当期純利益(税金等調整前当期純利益)から始まり、損益計算書に記載された営業活動に関する収入・支出をそのまま営業キャッシュフロー表に記載する方法のことです。

間接法のメリット

間接法は、損益計算書を基に作成することができるため、簡単に作成できるメリットがあります。

また、損益計算書に紐付いた営業キャッシュフローが作成されるため、損益計算書の最終利益と営業成績の因果関係がわかりやすくなるメリットがあります。

間接法のデメリット

間接法は直説法とは異なり、営業キャッシュフローを構成する収支項目全体を把握しにくいデメリットがあります。

営業キャッシュフローの直接法と間接法の違いまとめ

直接法は、営業活動に関係するキャッシュフローが収支の総額で表示されるため、詳細に流れを把握できます。一方、間接法は、利益と営業活動に関係するキャッシュフローとの関係を分かりやすく示すことができます。

つまり、直接法を使った営業キャッシュフローは、営業キャッシュフロー表単体で売上のキャッシュの流れ全体を把握しやすいのですが、間接法を使った営業キャッシュフローは、損益計算書と合わせて見ることで関連性と売上の理由がわかりやすいという違いがあります。

もちろん、直接法と間接法のどちらを用いても営業キャッシュフローの値は同じです。

財務3表は独立して見ることができる計算書類であるため、直接法によるキャッシュフロー計算書の方が会社の経営状況がわかりやすいのですが、作成に手間がかかります。そのため、日本では間接法を利用する会社が9割だそうです。

私も営業キャッシュフローの作成には間接法を使っています。損益計算書を合わせて見るため、理解が難しいことはありません。ただ、グローバル企業を目指すならどこかで直接法を使った方が良いのかな?とも思っています。

ともあれ、正確な営業キャッシュフローを作る行為は、フリーキャッシュフローを正確に知るためにも大切なことです。

参考:
会社経営の健全性を測るフリーキャッシュフローとは

直接法と間接法にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、あなたがわかりやすい方法、また今後の会社の方向性を鑑みて適切な方法を選んでください。

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