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      2016/03/17
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繰越欠損金とは?2015年4月法改正の内容と注意点

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この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

繰越欠損金とは

会社経営をしている社長で繰越欠損金に助けられている方は大勢いますが、繰越欠損金に縁がない方はある意味羨ましい限りです。

繰越欠損金とは欠損金を繰り越す処理のことで、正確には「欠損金の繰越控除」と言います。欠損金とは税務上の赤字のことです。

単年度の課税所得がマイナス会計となってしまった場合、「赤字=欠損金」が発生します。欠損金発生翌期以降で繰越期限切れまでの期間に課税所得がプラス会計になった場合、課税所得のプラスとマイナスを相殺できます。

つまり、赤字を繰り越すことで、黒字が出た場合に控除として取り扱うことができるのです。

ちなみに繰越期限は、平成27年4月1日以前は9期間、平成20年4月1日以前は7期間となっており、2回の改正によって繰越期限が引き伸ばされています。

この繰越欠損金のルールが平成27年4月1日の法改正によって、また変更されています。

主に大企業に向けての改正ですが、これまで繰越欠損金に縁がなかった社長も、これまで十分に活用してきた社長も、今後のために絶対に押さえておくべき改正内容です。

今回は、繰越欠損金のルールが一体どのように変わってしまったのかを解説したいと思います。

繰越欠損金の計算事例

繰越欠損金がどれだけ有用なのか、簡単ですが繰越欠損金の計算事例をご紹介します。

法人税の実効税率を仮に40%とします。A社は第一期の純利益が200万円の赤字でした。そのため、課税所得は0、法人税も0ということになります。

—–
■A社第一期
税引前当期純利益:-2,000,000円
課税所得:0
法人税:0
—–

第二期は300万円の黒字でした。第一期の赤字200万円は繰越欠損金になります。第二期の黒字と第一期の赤字を相殺して、課税所得は100万円になります。そのため法人税は60万円となります。

—–
■A社第ニ期
税引前当期純利益:3,000,000円
繰越欠損金:-2,000,000円
課税所得:1,000,000円
法人税:600,000円
—–

繰越欠損金という制度がなければ、第二期の課税所得は300万円になるため、法人税額は120万円ということになってしまいます。

仮に、第一期の赤字額が500万円だった場合、第二期で300万円の黒字と相殺しても、まだ200万円の赤字を残しています。もし第三期で黒字が出た場合、200万円の繰越欠損金と相殺対象になります。

繰越欠損金がどれほど効果が高いかお分かり頂けたでしょう。

繰越欠損金の改正内容

繰越欠損金が使える法人の条件は以下の通りです。

—–
1.青色申告法人であること
2.毎期決算書を提出していること
3.帳簿書類等を保存管理していること
4.対象欠損金が繰越期限切れでないこと
—–

繰越欠損金の改正

(2) 欠損金の繰越控除制度等について、次の見直しを行う。
1 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、次のとおり、段階的に引き下げる。
イ 平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の65相当額(現行:100分の80相当額)とする。
ロ 平成29年4月1日以後に開始する繰越控除をする事業年度又は連結事業年度について、その繰越控除前の所得の金額又は連結所得の金額の100分の50相当額とする。
2 上記1に伴い、次の措置を講ずる。
イ 中小法人等については、現行の控除限度額(所得の金額又は連結所得の金額)を存置する。

3 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を10年(現行:9年)に延長する。これに伴い、次の措置を講ずる。
イ 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度及び連結欠損金の繰越控除制度の適用に係る帳簿書類の保存要件について、その保存期間を10年(現行:9年)に延長する。
ロ 法人税の欠損金額に係る更正の期間制限を10年(現行:9年)に延長する。
ハ 法人税の欠損金額に係る更正の請求期間を10年(現行:9年)に延長する。
(注)上記の改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額について適用する。

参考:
平成27年度税制改正の大綱(3/7) : 財務省

繰越欠損金の改正-中小企業の場合

繰越欠損金の改正内容は、中小企業と大企業で分かれます。資本金1億円以下の普通法人や公益法人については、現行通り所得金額の全額を控除できます。

さらに期間も9期から10期に延長されました。

繰越欠損金の改正-大企業の場合

大企業の場合、繰越欠損金の所得制限が現行の80%から段階的に引き下げられます。つまり控除できる金額が少なくなるということです。

これまで大企業は80%まで繰り越せた赤字が65%までとなり、最終的には50%までになります。

—–
1.平成27年4月1日から平成29年3月31日における事業年度の控除限度額は、その繰越控除前の所得金額の65%になる
2.平成29年4月1日以降における事業年度の控除限度額は、その繰越控除前の所得金額の50%になる
—–

大企業の繰越欠損金の繰越期間も10期に延長されますが、控除できる金額が80%から50%に減るため、税負担は今までよりも重くなります。

繰越欠損金の活用による問題点

日本の法定実効税率は、国際的にみても非常に高いのですが、その理由の1つが繰越欠損金を活用できることにあります。

国別法人税実効税率

国・地方合わせた法人税率の国際比較 : 財務省

起業間もない会社にとって、繰越欠損金による控除は非常に嬉しい制度です。

ところが、繰越欠損金は法人税制の中でも抜け穴が多い制度であるため、中堅以上の会社もグレーな節税目的に使うことがあると聞きます。そのため法人全体を見ると、法人税収の妨げになっていることは間違いありません。

だからと言って、法人実効税率を下げるために繰越欠損金を無くしてしまうと中小零細企業の社長は困ってしまいます。その対応の1つが今回の法改正だったと言えるでしょう。

ちなみに、法人の欠損金繰越額は平生24年度で73兆円も存在します。

今後、繰越欠損金を活用している会社が全て黒字化したとしても、今後10年間73兆円分の課税所得には法人税がかからないということになります。

—–
(単位:億円)
平成:当期控除額:翌期繰越額
18年度:90,539:704,657
19年度:95,754:698,938
20年度:74,402:907,766
21年度:94,034:807,711
22年度:107,190:792,839
23年度:97,069:760,436
24年度:86,939:730,836
—–

繰越欠損金の当期控除額は8兆6,939億円、翌期繰越額は73兆836億円で、前年度に比べて当期控除額は1兆130億円(▲10.4%)減少、翌期繰越額は2兆9,600億円(▲3.9%)減少した

平成24年度分「会社標本調査」 調査結果について|報道発表資料(プレスリリース)目次|国税庁

大企業にとってはデメリットになる今回の改正ですが、今後の日本経済の発展には中小企業や新規企業が必要不可欠です。

繰越欠損金の改正と活用を通じて経済の新陳代謝を促し、新しい未来を作っていける一助となるべく、私も他の中小企業の社長たちも、ますます頑張っていかなければいけませんね。

ちなみに、他社の繰越欠損金を節税に活かして企業の吸収合併を行うという考え方があります。詳しくは以下をご参考に。

参考:
企業買収・吸収合併で節税?繰越欠損金6つの引継条件

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