小口現金管理は手間がかかる
消耗品や業務に必要な書籍、急な交通費や社外での食事などはどうやって支払いますか?
また、社員が使った経費はどのように金銭処理しますか?
通常の会社であれば、小額の支払いは小口現金で管理していると思います。小口現金は、日々発生する小額な支払いのために担当者などに前渡しされる現金のことです。
ところが、小口現金管理は手間がかかり面倒です。会社によって小口現金管理の方法は様々ですが、概ねこのような作業を行っています。
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小口現金管理の方法
・従業員に申請書を書いてもらう、または領収書をもらう
・担当者が金庫などから現金を引き出し、精算をする
・いつ、誰が、何を、いくら、という出納帳を付ける
・月次で全体の小口残高と出納帳が合っているかを確認
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経理担当者がいるから大丈夫!
慣れちゃったから大丈夫!
聡明な社長であればそんな話で済ませてはいけません。手間はかけない方が良いに決まっています。
このような細かい支払いは、法人カードを持つことで、これまでかかっていた一気に手間を削減してしまいましょう。
ということで今日は、小口現金のデメリット、法人カードのメリット、小口現金と法人カードをどうやって併用すれば良いのかをお伝えしたいと思います。
ちなみにですが…小口現金とは
もちろん、現金と小口現金はどちらもお金ですが、簿記での管理方法が違います。
通常の会社は、安全性を考えて現金を社内に保管せず、銀行に預けます。そして銀行振込みや引き落としなどの通帳上で現金を管理します。
ただし、消耗品や交通費、接待など細かな支払いを引き落としで行うことはできないため、手元に現金を持って支払いをしなければいけません。
このような細かい支払いをするために、手元にある程度置いておく現金が小口現金です。
小口現金は銀行から引き出されるため、細かな経費処理等は別途管理する必要があります。それが小口現金出納帳と呼ばれます。
法人カードとは法人名義のクレジットカード
法人カードとは、金融機関などが発行している法人名義のクレジットカードのことで、コーポレートカードとも呼ばれます。
通常、個人が持つクレジットカードよりも審査が厳しく、ある程度の経営歴を持ち、経営内容も悪くないことがクレジットカード取得の条件です。
そのため、「どうせうちが申し込んでもクレジットカード発行されないし…。」とカード申請に及んでいない社長も多いようです。
ところが、起業1年目でも、例え黒字ではなくても法人カードが発行される場合もあります。
もちろん申請してみなければ申請結果はわかりませんが、対応によっては取引銀行の法人カードが発行されることもありますし、アメリカンエクスプレスカードのように発行されやすいクレジットカードもあります。
法人カードが発行されれば、限度額が低くても相応のメリットが有るので、付き合いがある金融機関の担当者に聞くことをおすすめします。
金融機関の審査に関しては、こちらの記事が参考になるので読んでみてください。
参考:
法人口座・法人クレジットカードの審査を通過するためのアドバイス | Lifeclip
法人カードを持つ7つのメリット
法人カードを持つ一番のメリットは「手間の削減」です。
法人カードメリット1.経費精算にかかる担当者の手間が減る
経費処理に今まで必要だった、領収書の用意や申請書を書く手間が省けます。
法人カードメリット2.経費のチェックがしやすくなる
法人カードを使った履歴が、月次の明細書でチェックしやすくなります。
法人カードメリット3.支払い漏れや請求書チェックの手間が減る
請求書ベースの支払いを法人カード決済にすることで、支払い漏れや細かな請求書チェックの手間が少なくなります。
法人カードメリット4.銀行振込手数料が少なくなる
これまで銀行振込みやコンビニ決済だった支払いを法人カード決済にすることで、銀行振込手数料が少なくなります。
法人カードメリット5.社員の経費も明細書でわかりやすい
社員用の追加法人カードを作成した場合、それぞれ個別のカード番号が振られます。そのため、「いつ、誰が、何を、いくら」使ったかが明細書でわかりやすくなります。
法人カードメリット6.キャッシュフローが良くなる
キャッシュは保持する期間が長いほど経営が安定化します。法人カード決済分の口座引き落としは、30日から90日(クレジットカード会社による)あるためキャッシュフローが良くなります。
法人カードメリット7.クレジットカードポイントを活用できる
カード決済で還元されるクレジットカードポイントですが、基本的にポイントについては税務上の決まり毎が定まっていないため、仕訳の必要がありません。
ですので、これまでは社長のポケットマネーで◯◯、となっていたものが、ポイントで多少補えます。あくまでも今のところです。
カードポイントの取扱や仕訳に関しては、以下をご参考に。
参考:
社員や社長が個人的に使える?法人カードのポイント仕訳方法
法人カード利用における3つの注意点
法人カードの使い勝手が良さそうだということがわかっていただけたでしょうか。
ただし、法人カードをうまく活用していく上で、3つの注意点があります。
法人カード注意点1.決済のルールが必要
法人カードで決済できるものをルール化しておく必要があります。これを明確にすることは、社員などカード保持者にその分の権限を渡すことと同意です。
後からおかしな計上にならないように使っても良い物、責任者にお伺いを立てる必要がある物を決めておきましょう。
法人カード注意点2.年会費が必要
年会費はカード会社によって変わります。特別なカードでない限りは2,000円~30,000円ほどです。この程度の年会費であれば、十分費用対効果に合うはずです。
ただし、追加法人カードにも年会費がかかることがあるので、何十枚と追加法人カードを利用すると年会費が大きな額になってしまうこともあるでしょう。
誰に法人カード持たせて、どのような権限まで与えておくかしっかりと決めましょう。
法人カード注意点3.全てカード決済できるわけではない
便利な法人カード決済ですが、これまで小口現金で処理をしていた全てをカード決済できるわけではありません。例えば、収入印紙や切手もそうですし、カードを持たせていない社員が急に決済する場面も考えられます。
そこで、ある程度は小口現金決済と併用しなければいけません。
小口現金と法人カードをうまく併用する方法
小口現金管理は、まずは社長(担当者)が月次で必要な小口現金を予測して、キリの良い金額(30万円など)を引き出します。
法人カード決済と小口現金を併用すれば、小口現金額はこれまでよりもかなり少なくて済むはずです。
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・担当者が小口現金(10万円等キリの良い金額)を持つ
・精算の際は担当者に小口現金出納帳を付けてもらい領収書を預かって精算する
・精算は1か月に1度と決め、管理しやすい体制を作る
・社長も、法人カード決済できないものは小口現金担当者に精算してもらう
・残高は繰り越さずに月次で締め、1か月単位で小口現金を銀行から出し入れする
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これまでの小口現金管理とあまり変わっていないように思えますが、精算処理の量が圧倒的に変わるはずです。
それによって小口現金の量と手間を減らせば、安全性が高くなり、現金出納の間違いが少なくなります。
法人クレジットカードと小口現金を併用する管理方法まとめ
日々の雑務はちょっとしたことでも積み重なってしまうと、業務に支障をきたします。
「できれば自動で」「できればまとめて」「ルールを決めて」作業を簡略化し、スムーズに仕事をするために、この3つを念頭において大きな効果を得られる方法を考えましょう。
もう一度まとめます。
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1.小口現金決済をなるべく減らせるように法人カードを導入する
2.追加法人カードを持てる社員を決め、自由に決済できる項目を決める
3.法人カード決済できないものもあるので、小口現金決済をする担当者を決める
4.小口現金決済用にわかりやすい金額を予め渡しておく
5.小口現金決済用の出納帳を付けてもらう
6.社長も担当者に小口現金決済をしてもらう
7.月次で締め、小口現金残高は繰り越さない
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この方法で経費処理に関するオペレーションの費用対効果を最大限に高めていきましょう。