社長の人件費はどう考える?時給計算で価値を最大化する

社長の人件費はどう考える?時給計算で価値を最大化する

社長の役員報酬はいくらが妥当か

社長であるあなたは、自分の役員報酬が仕事に見合うものかを考えたことがありますか?

そう、誰しも1度は考えたことがあるはずです。起業を経験した社長が必ず思うことは「割にあわない…。」です。

もちろん仕事に対する給料は、可能不可能は抜きにして、本来時間に対してではなく生産に対して支払われるものです。

そのため、大きな夢や目標を達成するために今支払うべきものは時間しかない、という結論に至ります。つまり、

「社長である自分が時間を投資すれば、会社は成長する!」
「事務作業に人件費を支払うなら、土日祝日に自分がやる!」

と思ってしまうものなのです。

最初はこの考え方でも良いんです。でも、この考え方が起業して1年続くことは問題です。なぜ問題なのかを考えていきましょう。

社長が時間を使う問題点1.仕事の価値が時間と見合わなくなる

本来であれば、如何に時間を短縮して売り上げをあげるか、利益をあげるかという効率の良い経営を考えることが社長の仕事です。

ところが当の社長が月に数日の休み、1日14時間労働を当たり前のようにしてしまうと、サービスや商品の価値が相対的に下がってしまいます。

社長が時間を使う問題点2.働く時間の感覚がおかしくなる

今後、会社の組織化を考えている社長であれば必ず社員を雇います。

そして、社員からの「商品をもっと売るためにどうすれば良いですか?」という相談に対して、「俺は1日○時間休まず仕事してきたんだ!」という自分の価値観を押し付けてしまい、働く時間が給与の価値にいつの間にかすり替わってしまいます。

社長が時間を使う問題点3.健康を害すと会社がストップする

自分の空いた時間を作業時間に当てれば良いという考え方で働いていると、社長が全ての雑務をこなす体制になってしまいます。

健康なうちはそれでも良いのですが、一度体調を崩してしまうと会社の業務がストップしてしまいます。これは会社にとって最大のリスクです。

社長が時間を使う問題点4.プライベートに問題が生じる

もし社長に家族がいる場合、社長が自分の時間を使いすぎると家族との時間はないがしろになってしまうかもしれません。

家族は仕事の犠牲ではなく、仕事をがんばるための活力でなければいけません。

「家族を養うために仕方がない」と思っている社長も多いとは思いますが、それに対してどれだけ家族の同意を得ているでしょうか。家族との時間が取れないことに、奥さんや子どもたちは寂しいと思っていないでしょうか。


社長と言っても1人の人間です。仕事が好きで頑張っていても、時間の感覚がおかしくなったり、健康を害してしまったり、家族を犠牲にしてしまうと必ずそのツケは回ってきます。そして、修正に大きな力と時間が必要になります。

では、このような自体に陥らないために、社長はどのような考えで自分の時間を見なおせば良いのでしょうか。

社長の時間を見直す1.役員報酬を時給で計算してみる

まず社長自身の役員報酬を時給で計算してみてください。例えば、起業したばかりの社長の役員報酬が500万円だとした場合、週1休みで1日14時間労働だとすると、

5,000,000円÷311日÷14時間=約1148円

都内では多少良い目のバイトの時給、地方ではまあまあの時給になりました。これで満足する社長は……いませんよね。

社長の時間を見直す2.もう一度起業した理由を考えてみる

時給で計算した結果1,148円。こんなに色々考えて、人前で冷や汗を流し、心臓ドキドキで心拍数上がりまくり、吐き気がして何も食べられない、月末が不安で眠れない、そんな経験をして時給が1,148円ならもっと割の良いバイトはあります。

「バイトなんて先が不安じゃん!」

いいえ、その考え方だと起業した会社の将来の方がよっぽど不安です。

なぜ自分が起業をしたのか、もう一度考えてみてください。特別良い生活をしたいという目標を掲げていなかったとしても、こんなに仕事に追われて「割にあわない……。」と思うような環境を望んでいましたか?

仮に年収1億円じゃなくても、

「年収1,000万円で土日はしっかり休み、社員はなるべく定時で帰って充実した仕事をしてもらい、10年先まで会社の将来を見据え、健康に気をつけながら、たまに家族とゆったりとした時間を過ごす」

このように考えていた社長も多いはずです。

社長の時間を見直す3.理想の役員報酬と働く時間で時給計算してみる

もちろん年収1億円で計算しても良いのですが、仮に年収1,000万円、土日はしっかり休み、1日12時間働くことにして計算します。

10,000,000円÷257日÷12時間=約3,242円

つまり、あなたが理想とする社長の時給は3,242円です。社長が時間を使うということは1時間で最低でも3,242円の利益を生みだす仕事でなければいけません。

また、最低限それだけの価値があるものだと社長自身が理解する必要があります。

社長の時間を見直す4.仕事を任せた社員の時給を計算してみる

事務を雇った場合、経理を雇った場合、その社員にどんな仕事をやらせて、どれくらい給与を支払うのかを考えてみてください。

確かに自分でやれば人件費を払わなくて済みます。しかし、社長の価値は3,242円です。その仕事にそれだけの価値はあるのでしょうか。

例えば、社長がやれば1時間で終わる事務作業を事務員に任せると1.5時間かかるとします。

事務員の時給が1,000円の場合、その事務作業は1,500円/1.5時間のコストになります。ところが、社長がその作業を行うと、3,242円/1時間のコストになります。

だとすれば、社長が事務作業をした方が良いのか、事務員が事務作業をした方が良いのかは一目瞭然です。

ただし、事務員に事務作業を任せている1.5時間の間に、社長は自分がやるべき仕事で最低3,242円+1,621円+1,500円以上の価値(利益)を作る必要があります。

社長は自分の時間の価値を最大化させなければいけません。この程度の”価値”を作ることから目を背けて、事務作業に没頭するようでは「何を目指して起業したの?」と問い詰めたくなってしまいます。

社長の人件費は時給計算で価値を最大化のまとめ

会社を作りある程度安定した組織ができてくると、人から増えてくる相談があります。それは、「起業したいんだけどどう思う?」という相談です。

この相談に対して無責任な回答はできないため、いつも回答に困ります。

ただ、どれだけ有能な人でも、起業自体を軽く考えている人でも、起業後のある日自分の役員報酬を時給換算し、以前働いていた会社の給与と比べて愕然とする時が来るんだろう……とは思います。

そこで、時間に対する自分の価値を最大化することが会社の発展と自分自身の幸せにつながっていくと気づいた社長だけが、会社を成長させていけるのではないでしょうか。

売り上げを作り組織を作っていく中で作業を人に振る行為はなかなか難しく、ある意味覚悟がいることです。とは言え、社員を長時間働かせることで売り上げを作っている社長は、経営者としての仕事を疎かにしていると言っても良いでしょう。

もしかしたら、会社の中で一番時間管理が難しく、なかなかうまく出来ないのは社長自身なのかもしれません。

役員報酬の決め方は難しいものです。以下も参考にしてみてください。

参考:
役員報酬ゼロはあり?起業社長の給与を決める4つの方法

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