節税と脱税の違いとは?脱税の方法と事例を解説

節税と脱税の違いとは?脱税の方法と事例を解説

世の中は節税ブーム!でも一歩間違えると脱税

商売の方法が複雑になった現代、ちょっとした工夫と知識で大きな節税対策ができるため、世の中には節税本が溢れかえっています。

また、節税対策のノウハウを売りにした税理士やコンサル業も非常に増えました。

ところが税理士やコンサルによって、「どこまで節税対策をするか」という基準はそれぞれ違います。

もちろん、脱税を勧める本や商売はありませんが、少しでも踏み込むと脱税になってしまう節税テクニックもあるので、十分注意が必要です。

そこで今日は基本的な話として、節税と脱税の違いをご説明します。

特に起業社長は知っておくべきことなので、しっかり理解して、会社運営のプラスにつなげましょう。

ちなみに法人が納めるべき税金は、こちらを参考にしてください。

参考:
税金で倒産は避けたい!絶対必須な会社の税金9種+α

節税と脱税の違いとは

節税と脱税の共通点は、少しでも納める税金を減らすことです。

節税と脱税の違いは、法律の範囲内でできるだけ納める税金を減らすのが節税、法律を逸脱して納める税金を減らすのが脱税です。

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節税とは:
お金の出しどころ、または処理の仕方や順番によって、法律の範囲内で税負担を軽減する行為

脱税とは:
本来納めるべき税金を法律を逸脱した解釈によって、または不正な方法によって納めない行為
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3つの脱税の方法と事例

脱税は次の3つの方法しかありません。

1.売上を計上しない
2.経費を水増しする
3.上記の両方をする

脱税がどのような行為なのかピンと来ない人のために、具体的な脱税の事例を紹介します。

脱税事例1.取引をなかったことにしてしまう

法人税は課税所得金額に対してかかってくる税金なので、ある取引をなかったことにすれば、その取引分の利益が計上されません。

例えば、取引相手に法人口座以外にお金を振り込んでもらったり、手渡しでもらって、それを売り上げに計上せず、その分にかかる法人税を払わないという手口です。

もちろん、額が大きくなるほど取引先はお金を動かしづらくなりますし、税務署に見つかりやすくなります。取引先は脱税行為に加担することになるため、メリットはありません。

脱税事例2.仕入れをなかったことにしてしまう

こちらは仕入れをなかったことにしてしまうという脱税方法。もちろん、仕入れなかったことにした分の売上もなかったことにします。

例えば、いつもは野菜20kg仕入れているところを18kg仕入れたことにして、2kg分の売上を隠してしまえば、先程同様、課税所得金額を減らすことができます。

この方法は現金商売に多いようです。

脱税事例3.仕入れを廃棄したことにしてしまう

食べ物など賞味期限があるものは、それを過ぎると廃棄処分にします。廃棄をすることで、棚卸資産から経費計上することができます。

そこで、廃棄処分をしたことにして販売したり、自分たちで食べたりすると脱税となります。

これは食べ物だけではなく、旬もの、例えばアパレル業の洋服もそれに当たります。廃棄する場合は必ず焼却処分をして、証拠を提示しなければいけません。

脱税事例4.人件費を使ったことにしてしまう

人件費を多く使ったように見せかけて課税所得金額を減らす方法です。証拠が残りにくいように臨時のアルバイトを雇ったことにして、経費を使ったようにみせる方法が考えられます。


これらはかなりあからさまな脱税方法です。

他には帳簿上で仕訳の付け替えや、本社機能だけをタックスヘイブンに移して事業収入は日本国内で得る、などなどなど様々な方法が考えられます。

何がダメなのかを知ることよりも、何が良いことなのかをしっかり理解して、その範囲内で経営を考えるようにしましょう。

脱税による罰則とは?

脱税をするとどのような罰則が課されるのでしょうか。

税金逃れをして悪質な隠蔽工作等をした場合、懲役や罰金といった制裁措置がとられます。

罰則はケースバイケースであるため、できるだけ簡単に分かりやすく書くことにします。追徴課税など、詳細の計算をしたい場合は、国税庁のサイトを確認してください。

まず、脱税と認められた場合、以下それぞれの罪に該当します。

脱税の罰則1.脱税という罪(税法)

悪質な隠蔽工作の場合はほとんどがこれにあたります。脱税は刑事事件として処理され、「5年以下の懲役、または500万円以下の罰金」となります。

これで前科持ちです。

脱税の罰則2.延滞税

納税期限日に間に合わずに遅れて自ら税金を納めた場合に、この延滞税がかかってきます。そして、この延滞税は7.3%~14.6%もの利子を請求されてしまいます。

もちろん1日でも延滞税は発生します。故意であろうが過失であろうが関係はありません。

脱税の罰則3.加算税

税務調査などにより、税金納付遅延が見つかってしまった場合に罰則として加算される税金です。「過少申告加算税」「無申告加算税」「不納付加算税」「重加算税」などに分かれます。

さらに、故意の脱税と判断された場合は、重加算税が適用されます。これは納付すべき税金の35%~40%をプラスして払わなければいけません。

延滞税、加算税については以下で詳細を説明しています。

参考:
確定申告で恐怖の追徴課税…誰もが対象になる加算税と延滞税とは

節税と脱税の違いと脱税事例まとめ

今後、社長が見るブログでも使える節税テクニックは色々とご紹介したいと思います。例えば以下の様なものです。

参考:
社長が簡単に経費化しやすい日常の節税対策項目
賢く節税!個人事業主が意識すべき15の所得控除

ただし、法律の範囲内でも、節税のやり過ぎは良くありません。日々の業務の中で、ちょっとした工夫で済むもので、無駄がない程度に抑えておくようにします。

例えば、「ケチケチ生活でお金を貯める」といった趣旨のテレビ番組があったりしますが、時間をかけすぎているにもかかわらず、その見返りが小さいと感じます。

いわゆる費用対効果の話ですね。状況や環境にもよりますが、「こんなにするなら適度な倹約を心掛けた上で、働いたほうが貯まるんじゃ……?」ということです。

お金を貯めて何かをすることが目的だったものが、どれだけ倹約・節約できたかという目的にすり替わってしまっているんです。

あなたは、そんなことがないよう会社の本質である事業でしっかり売上を作り、堅実で費用対効果の高い会社を作っていってください。

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