優れた人材が突然あらわれた時の対処法は?
これまで何度か触れてきましたが、企業には優れた人材が必要不可欠です。
起業したてのころは、社長であるあなたが優れた人材になれば良いのですが、事業拡大、組織拡大を考えるならば、人材を採用していかなければいけません。
そこで考えるのは、優れた人材を適切な時期に獲得するためにはどうすれば良いか、ということです。
事業計画にそって人員計画を立て、優れた人材を獲得するために会社が必要な準備をすることは当たり前です。そして、優れた人材を見極めるために質の高い面接を行うことも重要です。
参考:
優秀な人材獲得は準備次第!社員採用に必要な3つの考え方
人材採用面接で社長や人事担当者が聞くべき6つの質問
ところが、突然目の前にぜひとも欲しい優れた人材が現れることがあります。そんな時に、
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「焦ってその人材を逃してしまった…。」
「優れた人材だと思ったら違った…。」
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ということが起こっては大変です。初期の会社にとって、人材採用はコストも労力もかかるものなの、せっかくのチャンスは逃せません。
そこで今回は、優れた人材を適切な時期に獲得するために見極めるべき4つのポイントについてお話したいと思います。
人材獲得のポイント1.いつ人材を獲得すべきか見極める
会社は、常に優秀な人材を求めています。そのため、社長を含め経営陣は、優秀な人材を獲得できそうであればすぐに獲得すべきです。
ところが、起業間もない会社やまだ少ない社員数で経営している会社にとっては、1人の人件費が大きなコストアップに繋がってしまいます。
手をこまねいて人材を逃すわけにもいかず、かと言って現状で業務はなんとかこなせている……。
そんな時に見て欲しい経営指標が、売上高人件費率です。
売上高人件費率とは、会社の売上に対する人件費の割合のことを指します。人件費には、社員の単純な給与、賞与の他に、福利厚生費、法定福利費、退職金、役員であれば役員報酬と役員賞与などが含まれます。
売上高人件費率が大きければ、会社の人件費の負担割合が大きいことを示しており、逆に売上高人件費率が小さければ、会社の人件費の負担割合が小さいことを示します。
売上高人件費率を見る場合は、必ず業種別の参考値と比較することが大切です。
本当に必要な人材ならば、原資のあるなしで簡単に判断せずに、どうやったらその人材を獲得できるのかを検討しなければいけません。
もし、売上高人件費率が高かったとしても、その人材を獲得することで誰の手がどのように空けられるのか、または何か新しい売上戦略を作れるのか、現在の商品単価を見直せないのか、コストを見直せないのか、など確認することは様々です。
少人数で経営している会社にとって優秀な人材は本当に貴重です。
人材獲得のポイント2.価値観を共有できるか見極める
人材を獲得する際は、能力やスキルだけで判断してはいけません。
社長であるあなたと価値観が共有できるか、また、他の社員と価値観を共有できるかが重要な判断ポイントの1つです。
採用にあたって必ず面接を行うと思います。その時に、聞いて欲しい6つの質問があります。
採用面接の質問1.どのような仕事をどんな風にしたいのか?
採用面接の質問2.持っているスキルをどのように伸ばしたいのか?
採用面接の質問3.業務の実績、またはスキルを発揮した場面は?
採用面接の質問4.自分なりのモチベーションアップ方法は?
採用面接の質問5.やりたい仕事をできなかい場合にどう対処する?
採用面接の質問6.あなたの将来像、将来やりたいことは?
あなたの会社に入って何がしたいのか、持っているスキルを何に使いたいのか、自分なりのモチベーションアップの方法、やりたい仕事が叶わなかった時の対処法、そして自分の将来像です。
私は特に将来像を重視しています。
仮に、今何も考えていなくても良いですし、少し現実離れした回答をしても全く構いません。
もし何も考えてないようであれば、仕事や将来設計に対して目標を持たせてあげなければいけないという評価になりますし、現実離れをした回答には、どうすればそこに至るのかマイルストーンを置く考え方を示してあげなければいけないという評価になります。
価値観を共有するためには、表面的な人間性だけではなく、内面的な人間性を見る必要があります。全てが完璧な人はいないので、どう補っていけるのか、何を共有していけるのかを見極めましょう。
人材獲得のポイント3.モチベーションが維持できるか見極める
世の中にはモチベーションコントロールが上手な方がいます。私もどちらかと言うとモチベーションコントロールは得意な方です。
ところが、ちょっとしたことでモチベーションの波が大きく揺れ動き、時には周囲にも影響を及ぼしてしまう困った方もいます。
モチベーションには、給与や報酬といった外部刺激によって生まれる外発的動機付け、自分の中で幸せや達成感を感じて動機付けられる内発的動機付けの2種類があります。
社長が気をつけることは、どのような内発的動機付けによって、その人材がモチベーションを左右されるかを見極めることです。
起業をして厳しい環境を乗り越えてきた社長にとって、一般の社員とのモチベーション格差は天と地ほども違います。逆境を乗り越える爆発力や小さな喜びを見つける感性も違います(個人差はありますが)。
そのため、つい自分の感覚で人に期待をしてしまうことがあるのです。つまり、内発的動機付けを見極めずに、「問題ないかな……。」と手を離してしまいます。
これでは、せっかく見極めて、切望して、獲得した人材が不安を感じて、辞めてしまうかもしれません。
内発的動機付けは、社員を褒め、期待し、話を聴くことで徐々に見極められるようになります。そして、見極められるようになれば、よりうまく価値観も共有していけるようになります。
会社で仕事を行う上で大切なことは、内発的動機付けを自分の中で作り、維持し続けることです。自分でモチベーションアップができれば、自発的に頑張り続けることができるのです。
社長やリーダーが意識することは、社員の内発的動機付けを作り、キープし続けることです。
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モチベーションアップ環境作り1.社員を褒める
モチベーションアップ環境作り2.社員に期待する
モチベーションアップ環境作り3.社員の話を聴く
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人材獲得のポイント4.社内環境にマッチするか見極める
社長のあなたが必要とする人材が、時期に恵まれ、価値観も共有でき、モチベーション維持もできそうだとわかっても、必ずしも社内環境にマッチするとは限りません。
人は、驚くほど自分が働く環境に敏感です。
例え良い環境じゃなかったとしても、慣れれば問題はないのですが、第一印象で「働きたい!」「働きたくない…。」という判断は必ず行います。
そこで、必要最低限、いつ人材を獲得してもよいように、準備だけは怠らないようにしておきましょう。必要な要素は3つあります。
社員採用準備1.採用計画の作成
社員採用準備2.現在の社員に教育プロセスを教えこむ
社員採用準備3.社内環境の見た目や利便性を整える
場当たりで獲得した人材に、「この会社採用手順がめちゃくちゃなんだけど大丈夫かな……。」と思われないように、しっかりとした採用計画が必要です。
もちろん教育環境も必要ですし、教育担当者にも準備が必要です。人が1人増えるわけですから、オフィスの利便性を考えたオフィスデザインやレイアウトも必要です。
しっかりと準備をし、それでも社内環境にマッチせず採用に至らない、直ぐに辞めてしまったという話であれば、これは諦めるしかありません。
ただし、何も準備をしていないことが原因で採用に至らないことだけは避けましょう。
人材を適切な時期に獲得すための4つのポイントまとめ
会社にとって、人事はいつも流動的です。いくら素晴らしい会社でも、離職率が0%になることはありませんし、万人が入社したい会社にもなれません。
そのため、優秀な人材をしっかりと見極めて、適切なタイミングで獲得していかなければいけないのです。
もしかしたら、起業間もない社長が携わる業務の中で、一番難しくかつ将来を大きく変えるのが人事かもしれません。
私も、あの時採用の決断をして良かった、しっかりとアンテナを張っておいて良かったと思える社員たちと仕事をできているのは、この見極めがうまくいったからだと思っています。
あなたも、素晴らしい人材と巡りあい、しっかり見極めて、ずっと一緒に働いていけるような同士を獲得してください。