在宅ワークとは
個人事業主にしても、株式会社にしても、以前に比べて起業しやすくなりました。
また、事業の営み方も、必ずしも仕事場として事務所を用意するスタイルではなく、自宅で登記して自宅で仕事を行う方が増えています。
この自宅で行う仕事のスタイルを「在宅ワーク」と言います。在宅ワークの業務内容はさまざまです。
例えば、文書入力、デザイン DTP、翻訳、テープ起こし、システム設計、ホームページ作成、プログラミング、データ入力、設計・製図、テレワークなどなど、様々な業務が自宅で行えます。
これは、副業の認知が増え、在宅ワークをする方(在宅ワーカー)の地位が向上したことともに、パソコンを使ってできる業務が多くなったためです。
平成20年度、厚生労働省が行った「在宅就業調査報告書」によると、2008年時点の在宅ワーカーの数は123万5千人、内訳は専業の在宅ワーカーが87万2千人、副業の在宅ワーカーが36万3千人と年々拡大しています。
副業でもそうですが、専業になると多くの方が在宅ワークをする過程で個人事業主の申請を行います。
事業主になる最低限の目安としては、確定申告が必須な20万円以上の所得が見込める場合です。20万円以上の所得とは、収入目安で言うと年収60万円~程度でしょう。
個人事業主になるための所得目安は?
年間所得20万円未満
年間所得20-50万円
年間所得50-100万円
年間所得100-500万円
年間所得500-1,000万円
年間所得1,000万円超
つまり、何らかの仕事を開始して売上が伸びていくようであれば、副業在宅ワーカー、専業在宅ワーカー、個人事業主、株式会社という風に、誰でも抵抗なくステップアップして起業に至る環境が整いつつあるのです。
では、在宅ワークのメリットやデメリット、注意する点はどのようなことでしょうか。
在宅ワークのメリットとデメリット
在宅ワークのメリット
在宅ワークの1番のメリットは、パソコンとインターネットがあればどこでも仕事ができることです。
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・自分のペースで働くことができる
・家事、育児、介護と仕事が両立できる
・仕事を選べる、自分が得意な専門分野の仕事ができる
・自分がやった分に対して成果が支払われる
・通勤時間が必要ない
・自宅開業なので、事務所コストなどがかからない
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在宅ワークのデメリット
在宅ワークはメリットとデメリットが表裏一体です。会社員であれば、家庭と仕事場は切り離して考えるのですが、在宅ワークの場合は、生活スペースの中に業務スペースがあります。
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・スケジュールがタイトになると自分の時間がなくなる(会社の制度に守られない)
・家事、育児、介護が忙しいと、仕事に手が付かない
・自分ができる仕事以外は行えない
・働かなければ成果が支払われない
・外に出かける時間が減り、気持ちの切り替えが難しい
・自宅開業なので、信用面などに問題がある
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上記デメリットとメリットを比べてみるとわかりますが、それぞれ表裏一体になっているため、メリットを多くできるかどうかは全て自分次第だということです。
なるべくストレスが無い在宅ワークを行うためには、計画立てて効率的な仕事の進め方をしたり、自宅だからこそ仕事と生活にメリハリをつけた環境を作っていかなければいけません。
在宅ワーカーが仕事をする際の注意点
在宅ワークには、メリット、デメリットとは別に、仕事をしていくうえでの注意点があります。
注意点は大きく分けて2つのケースがあります。
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・今まで会社に勤めていた方が退職して在宅ワーカーになるケース
・今まで専業主婦やパートで扶養家族だった方が在宅ワーカーになるケース
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在宅ワークの注意点1.社会保険
これまで会社員だった方は会社で社会保険に加入していましたが、退職すると国民健康保険に加入しなければいけません。
また、扶養家族であった場合、在宅ワークで収入が増えるに従って、条件により自分で健康保険や社会保険に加入しなければいけません。詳細は以下をご参考に。
参考:
主婦はパートと個人事業主どちらが得?扶養、国保、社保問題
在宅ワークの注意点2.老後の年金
会社に勤めていた方が退職して在宅ワーカーになる場合、国民健康保険に加入することになりますが、厚生年金(社会保険)と比べると老後にもらえる年金額は少なくなります。
そのため、国民健康保険で長く続けることが予想される場合は老後の備えを考える必要があります。
つまり、事業プランだけではなく、ライフプランも考えたうえで在宅ワークに臨まなければいけません。
在宅ワークのメリットとデメリットまとめ
在宅ワークは今後の生活スタイルを大きく変えてくれる働き方の1つです。
そのため、特別なスキルを持っている方であれば、これまでの会社勤めよりも肉体面・精神面、もしかすると、金銭面までが充実する可能性があります。
とは言え、たとえ個人事業主であっても、1人だけの法人であっても、社長であることに代わりはありません。
起業してしばらくは収入が少ないこともあるでしょう。
スキルアップのための支出がかさむこともあるでしょう。
軌道に乗るまでは自分の時間を全て費やすこともあるでしょう。
これまでのように会社に縛られることがない分、また、主婦というレッテルではなく事業主を名乗る分、それなりの責任は生じます。
今まで以上にお金と時間のバランスを大切にして、事業の収支計画・事業計画だけでなく、新しいライフプランや家計も含めたキャッシュフローを作るなど十分な準備をしておきましょう。