どんぶり勘定は危険!黒字倒産を回避するためのコツ

どんぶり勘定は危険!黒字倒産を回避するためのコツ

どんぶり勘定を行っている中小企業の会社経緯者は、倒産についての危機意識を持ったことがあるでしょうか。

そのときはうまくいっていても、大雑把な会計を続けていると「黒字倒産」に陥る可能性もゼロではありません。今回は、黒字倒産の実態と回避するためのコツを解説していきます。

どんぶり勘定が危険な理由

売り上げがそれなりにある経営者からすると、企業の「倒産」は無縁なものと思っていることも多いでしょう。
企業の命運に関わる要素として、売り上げ・収益がすべてだと認識している人が多いからです。

また、次のグラフが示す通り、倒産する企業の数は減少傾向にありますので、より自分とは縁がないものだと捉えがちになります。

geppo201716_2引用元:http://www.tsr-net.co.jp/news/status/half/2017_1st.html

売り上げがあって、「自分の会社が倒産するわけがない」と思っていても、場合によっては倒産してしまうケースもあります。
経営的には黒字なのに倒産してしまう、こういった倒産のあり方は「黒字倒産」といわれています。

実際、東京商工リサーチが2012年に倒産した会社のデータを分析したところ、半数近くは黒字だったことを示しています。

小企業ではいわゆる「どんぶり勘定」でキャッシュフローを管理しているケースも少なくありません。
お金の流れを大雑把に管理していると、売り上げはあるのにキャッシュがないという事態に陥ってしまうことがあります。

手元に現金がなくなってしまえば、従業員に給料を支払うこともできず、仕入れ代金を払うことができなくなります。

そうすると、従業員・取引先からの信頼は失われ、企業としての存続も危ぶまれてしまうでしょう。
黒字だからといって必ずしも倒産の心配がないというわけではなく、経営者としてお金の管理が不十分だと感じる場合には注意することが必要です。

企業の倒産の実態とは

そもそも黒字倒産に陥る背景には、経営者が会計上の収入・支出の動態を把握していないという実態があります。

売上金はたくさんあっても、売上金がキャッシュで入るのが3ヶ月先なら、1ヶ月先に支払うべき給与や仕入れ代金の支払いが困難になってしまうことがあるのです。銀行からの信頼も失い、借り入れができなくなると、仕入れ代金を支払うことがますます困難になり、黒字倒産へとつながっていきます。

中小企業庁から2016年に発表された、企業が倒産する原因をグラフで見ていきましょう。

g_3引用元:https://www.all-senmonka.com/newsite/post-57/

こちらは中小企業の倒産原因の内訳を表したグラフですが、最も多い原因は「販売不振」の68%となっており、自社のサービスや製品が売れない、また利用されなければ、当然売り上げの減少にもつながっていきます。
そして倒産に陥るというステップを踏むケースが最も多くなっています。

注意しなければならないのは、2番目に多い「既往のしわよせ」や、3番目に多い「放漫経営」です。既往のしわよせとは、その名の通り業績を的確に把握していない状態で過ごすと、資産が限界を下回ったときに倒産するケースなどを意味しています。また、放漫経営は、経営者の経営能力が欠如していたり、管理体制がずさんであることが原因となるケースを指しています。

黒字倒産に陥る会社は、このように大雑把な経営・管理を行っていることがほとんどです。黒字倒産のリスクを回避するためには、しっかりとお金の流れや経営状況をデータで把握していく姿勢が必要になってくるでしょう。

黒字倒産を回避するためにできること

黒字倒産のリスクを回避するためには、資金の流れをしっかりと管理していくことが必要です。

最低限の対策として行っておきたいのは、資金繰り表の活用です。資金繰りとは、資金の収支を予想し、残高を把握することで、資金不足になることを防ぐためのやりくりのことです。黒字倒産する会社では、在庫を過剰に抱えていることも多いため、お金と在庫の管理をしていくことが必要になります。

上場企業では、「キャッシュフロー計算書」の作成・公表が義務付けられていますが、資金繰り表については任意となっています。任意をはいえ、資金繰り表は将来のお金の動きを予測するという側面があるため、作成しておくとお金の流れをある程度正しく掴むことができます。

資金繰り表を作成すると、いつ・どれくらいのお金が必要になるのか、あるいは余剰が生じるのかがわかります。将来的にお金の余裕が生じると見込まれる場合には、事業に投資できるお金も出てくるでしょう。闇雲に投資せず、しっかり予測した上で仕入れを含めた投資を行っていくことが肝心です。

資金繰り表を用いて将来的なお金の動きを予測することで、銀行から借り入れするお金も大雑把に決めるのではなく、必要最小限のお金で済むようになります。無駄のないキャッシュフローを実現するためにも、資金繰り表は作成しておきましょう。

まとめ

倒産する会社は単純に販売不振が原因のこともありますが、実は約半数が黒字なのに倒産しているのが実態です。収益を上げる力があっても、お金の管理がずさんであれば黒字倒産に陥る可能性もあるのです。

最低限の対応として資金繰り表を作成することをおすすめします。

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