ベンチャーキャピタルとは?投資を受けるメリットとデメリット

ベンチャーキャピタルとは?投資を受けるメリットとデメリット

知っておきたいベンチャーキャピタルについての知識

出資を受ける方法の一つに、ベンチャーキャピタルという方法があります。言葉は聞いたことあるけれど、実際にどのようにして資金調達がされるか、その詳しい仕組みを知っていますか?
この記事では、ベンチャーキャピタルの概要から、ベンチャーキャピタルの種類、またベンチャーキャピタルのメリット・デメリットについて、網羅的に解説します。

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルって何?

ベンチャーキャピタルとよく耳にしますが、実際どのような意味を持つ言葉なのでしょうか?
ベンチャーキャピタルとは、成長の確度が高いと思われる未上場企業に対して、投資を行う機関・会社のことを指します。略してVCと呼ばれることもあります。これに似た言葉に「投資ファンド」がありますが、投資ファンドは「出資者からの資金を元に事業への投資を行い、その事業からの収益を出資者に還元する仕組みそのもの」を指します。

ですので、投資ファンドは仕組み、ベンチャーキャピタルは運営元の組織となります。一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターが調査した「ベンチャー白書2017」によれば、2016年度の投資額は前年度比25%増の1092億円と、大きな市場規模に達していることが分かります。

ちなみに、ベンチャーキャピタルの年収は、新卒でも1000万円前後と非常に高く、業績がよければ2000〜3000万円と高水準の年収になることもあるそうです。

ベンチャーキャピタルの仕組み

ベンチャーキャピタルは、上でも説明した「出資した企業を育成し株式公開や事業成長を促進して、株式売却や事業売却といったイグジットポイントで利益を獲得(資金回収)する」ファンドの仕組みによって回っています。そのため、ベンチャーキャピタルは、価値が高まるように出資企業に対して育成・アドバイスや保有しているリソース(人財、スキル)などを提供します。
また、ベンチャーキャピタルは貸金ではないため、出資を受ける側に返済義務はありません。そのため、ベンチャーキャピタルは損失しないよう、事業が拡大する経営戦略についての主導権を握り推し進めていく事が多く、投資を受ける側としては経営自由度が下がってしまうのが難点です。

ベンチャーキャピタル(VC)の種類

ベンチャーキャピタルには、いくつか種類があります。大きく分けて4つに分類されます。それぞれ、概要と特徴についてまとめていきます。

  • 独立系

    独立系とは、関連企業を持たないベンチャーキャピタルのことを指します。資金調達を独自に行っています。

    特徴:業種に特化して投資する傾向があります。距離が近く、積極的に支援をすることが多いです。

  • 政府系

    政府や公共団体によって設立されたベンチャーキャピタルです。

    特徴:グローバル推進、技術力の高いベンチャー・中小企業に積極的に投資する傾向にあります。

  • 事業会社系(CVC)

    投資会社・金融会社ではない大手企業が運営・管理するベンチャーキャピタルのことを指します。

    特徴:投資の回収よりも、既存事業とのシナジー性などを目的としているケースも多いです。新規事業、専門性の高い分野への投資を行う傾向にあります。

  • 金融機関系

    証券、銀行、保険会社が設立しているベンチャーキャピタルです。融資先の確保が主な目的としている場合が多いです。

    特徴:独立系や事業系と比較すると、さほど積極的な支援を行わない傾向にあります。

投資先はベンチャー企業といってもステージが様々

VCの世界では、ベンチャー企業は成長ステージごとに以下の4つにカテゴライズされています。

  1. シード

    シードとは、試作品の開発段階であり、サービスや商品のリリースを行っていない段階のこと。一般的に、資金調達可能額は、100〜1000万円程度といわれています。シードの段階では、大手VCから資金を受けられるケースは非常に稀です。

  2. アーリー(シリーズA)

    商品やサービスのリリースがされた起業直後の段階です。商品のコンセプトや将来性が高ければ、この時点で多額の資金調達をするベンチャー企業も少なくありません。

  3. ミドル(シリーズB)

    商品・サービスの売れ行きは順調で、さらに成長を加速させたい第二成長期の段階のことを指します。事業が安定しているため、億単位での資金調達をする企業も多いです。このくらいの規模になると、事業系のベンチャーキャピタルから出資を受けることもできます。

  4. レイター(シリーズC)

    ベンチャー企業として成熟期に入り、成長や収益化が実現されている段階を指します。イグジットポイントとして、IPOを選択できるのもこの段階からです。

実際のベンチャーキャピタルの出資・投資先

実際に、ベンチャーキャピタルが出資・投資している企業はどのようなところになるのでしょうか?ここでは、出資先・投資先の一部を紹介します。全部で7社。出資を受ける際の参考にしてみてください。

  • (株)バリューHR

    • 所在地: 東京都
    • 設立 2001年
    • 業務内容 健康保険組合の設立及び保険事業支援、並びに健康管理サービスの提供
    • 上場日 2013年10月4日
    • コード番号 6078
    • 市場 JASDAQ/S
  • オイシックス(株)

    • 所在地: 東京都
    • 設立 2000年
    • 業務内容 無農薬・無添加の青果物や加工食品の店舗販売、EC販売事業
    • 上場日 2013年3月13日
    • コード番号 3182
    • 市場 マザース
  • (株)ドリコム

    • 所在地: 東京都
    • 設立 2003年
    • 業務内容 ブログシステム開発、携帯コンテンツ、ソーシャルゲーム事業
    • 上場日 2006年2月9日
    • コード番号 3793
    • 市場 マザース
  • (株)インタースペース

    • 所在地: 東京都
    • 設立 1999年
    • 業務内容 アフィリエイト(成果報酬)型広告「アクセストレード」の運営・管理
    • 上場日 2006年9月19日
    • コード番号 2122
    • 市場 マザース
  • (株)トレジャー・ファクトリー

    • 所在地: 東京都
    • 設立 1999年
    • 業務内容 関東1都4県で家具、雑貨等の総合リサイクル店を運営
    • 上場日 2007年12月26日
    • コード番号 3093
    • 市場 マザース
  • (株)メタップス

    • 所在地: 東京都
    • 設立 2007年
    • 業務内容 スマホアプリの広告運用コンサルティングサービス、EC事業向けオンライン決済サービス
    • 上場日 2015年08月28日
    • コード番号 6172
    • 市場 マザース
  • (株)JMC

    • 所在地: 東京都
    • 設立 1989年
    • 業務内容 3Dプリンター出力事業、鋳造事業、医療モデル受託開発・製作事業
    • 上場日 2016年11月29日
    • コード番号 5704
    • 市場 マザース

ベンチャーキャピタル(VC)95選

実際に日本でベンチャーキャピタルの企業や会社の一覧リストを作成しました。
一部、大手企業が運営しているVCも掲載しています。上で書いたVCの種類別にそれぞれまとめています。

創業当初からの投資も。アクセレーター・インキュベーター

  • Infinity Venture Partners
  • Open Network Lab
  • Femto Startup
  • スカイライトコンサルティング
  • Samurai Incubate
  • MJインベストメントパートナーズ
  • Incubatefund
  • 梅田スタートアップファンド
  • サンブリッジグローバルベンチャーズ
  • 9:J-Seed Ventures
  • サムライインキュベート
  • MOVIDA JAPAN
  • アーキタイプ
  • Femto Growth
  • ZENTECH DOJO
  • 500 Startups Japan

経営自体に深く関与するケースもある独立系ベンチャーキャピタル(VC)

  • 日本みらいキャピタル
  • グローバル・ブレイン
  • エンゼルキャピタル
  • 広島ベンチャーキャピタル
  • 九州ベンチャーパートナーズ
  • WiL
  • アコード・ベンチャーズ
  • ケイエスピー
  • サンエイト
  • モバイル・インターネットキャピタル
  • リード・キャピタル・マネジメント
  • グロービス・キャピタル・パートナーズ
  • フューチャーベンチャーキャピタル
  • 日本ベンチャーキャピタル
  • 日本アジア投資
  • FENOX VENTURE CAPITAL
  • ANRI
  • B Dash Ventures株式会社
  • 株式会社partyfactory
  • 株式会社insprout
  • イノベーション・エンジン株式会社
  • QBキャピタル合同会社
  • ウエルインベストメント株式会社

事業シナジーも期待できるCVC(事業会社系)

  • 伊藤忠テクノロジーベンチャーズ
  • サイバーエージェント・ベンチャーズ
  • YJキャピタル
  • Gree Ventures
  • GMOベンチャーパートナーズ
  • 三井物産グローバル投資
  • 富士通コーポレートベンチャーファンド
  • ベンチャーユナイテッド
  • オムロンベンチャーズ
  • docomo Innovation Village
  • コロプラネクスト
  • リクルートグローバルインキュベーションパートナーズ
  • Sales Force(Sales Force Ventures)
  • 船井キャピタル株式会社
  • ニュー・フロンティア・パートナーズ株式会社
  • アイ・ティー・エックス株式会社
  • ワークス・キャピタル株式会社
  • ミレニア・ベンチャー・パートナーズ株式会社
  • 日立CVCファンド(日立製作所)
  • アイ・シグマ・キャピタル株式会社
  • リンク・インベストメント株式会社
  • ABCドリームベンチャーズ株式会社

社会的信用力の向上効果も。金融機関系ベンチャーキャピタル(VC)

  • SMBCベンチャーキャピタル
  • ジャフコ ( JAFCO )
  • 新生企業投資
  • 三井住友海上キャピタル
  • 三菱UFJキャピタル
  • 大分ベンチャーキャピタル
  • 信金キャピタル
  • SBIインベストメント
  • オリックス・キャピタル
  • ニッセイ・キャピタル株式会社
  • みずほキャピタル株式会社
  • りそなキャピタル株式会社
  • 株式会社宮崎太陽キャピタル
  • 京銀リース・キャピタル株式会社
  • 静岡キャピタル株式会社
  • 中信ベンチャーキャピタル株式会社
  • 三重リース株式会社
  • 山口キャピタル株式会社
  • 株式会社日本商工経済研究所
  • 株式会社NCB経営情報サービス
  • 池銀キャピタル株式会社
  • Geodesic Japan 合同会社
  • ネオステラ・キャピタル株式会社
  • 野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社
  • 三生キャピタル株式会社

政府系ベンチャーキャピタル(VC)

  • 株式会社 産業革新機構
  • DBJキャピタル(日本政策投資銀行グループ)
  • 大阪中小企業投資育成
  • アグリビジネス投資育成株式会社
  • 東京中小企業投資育成
  • 新規事業投資株式会社
  • 名古屋中小企業投資育成
  • 日本政策金融公庫(新事業育成支援)

ベンチャーキャピタルから投資を受ける前に最低限の知識を

ベンチャーキャピタルは、以前と比べるとだいぶ身近な資金調達の方法になったとはいえ、全く分からない状態で出資を受けてしまうと、ベンチャーキャピタルに経営の主導権を握られてしまう、話には聞いていなかったタイミングで事業売却されてしまうなどトラブルの原因にもなります。

出資を受ける前には必要最低限のファイアンスや法律の知識を身につけておきましょう。以下に紹介する3つの書籍はどれも参考になるのでおすすめです。

  1. 事業資金調達の教科書

    ベンチャーキャピタルに限定せず、事業における資金調達について書かれた書籍。資金調達に大切な心構え・考え方だけでなく、具体的な活用方法を記されています。

    Amazonで書籍を確認

  2. 現役経営者が教える ベンチャーファイナンス実践講義

    専門的な実践内容に一辺倒にならず、著者の実体験を元に、会社設立から出口戦略についての具体的なポイントについて解説されている書籍です。ベンチャーキャピタルという部分にとどまらず、起業家に必要な実践知識がつまっている一冊。

    Amazonで書籍を確認

  3. 起業のファイナンス増補改訂版

    ベンチャーキャピタルをする上で必要な事業計画、資本政策、IRなどの基礎知識、スタートアップが気をつけるべきポイントなど、これから資金調達をする方にとってうってつけの書籍です。

    Amazonで書籍を確認

ベンチャーキャピタルから投資を受ける際のポイント、メリットとデメリットも

最後に、ベンチャーキャピタルから投資を受ける際に重要なポイント、またVCのメリット・デメリットについてご紹介します。これから出資を検討している方は参考にしてみてください。

投資を受ける際に必要なポイント

  • 経営陣の質を上げる
    ベンチャーキャピタルが出資する際には、経営陣の質をチェックされます。経営陣がどの分野において経験・実績を持っているのか、また経営陣は個人ではなく、チームである方が有利に働くケースが多いです。

  • 競合他社と比べて、優位性のある商品・サービスである
    商品やサービスが他社と比較して優位性があるかどうかが重要です。基本的に、資金回収が見込めるかがベンチャーキャピタルの主眼に置く部分なので、市場にニーズがあるか、社会にどういうプラスのインパクトを与えるかといった視点も必要です。

  • 参入する市場に拡大・成長の見込みがある
    そもそも、参入する市場に拡大・成長の見込みがあるのか。すでに、斜陽産業である、衰退期に突入している市場だと、出資を受けるには、それ相応の理由が必要になります。

VCのメリット

  • 資金調達がしやすくなる
    これが、最も大きなメリットです。VCから出資してもらっている=事業に将来性があるということを示しているので、以後の資金調達がしやすくなります。

  • 経営支援・育成支援を受けられる
    VCから足らないリソースを補充することが出来ます。いくつもの企業を成長させてきたVCと幾度もディスカッションをすることにより、事業戦略、経営戦略をさらにブラッシュアップさせることができます。

  • 他企業との連携・ジョイントができる
    VCが持っている人財ネットワークを活用することが出来ます。それこそ、事業の方向性によっては、他企業との連携・ジョイントも実現できます。

VCのデメリット

  • 経営における主導権を握られる可能性がある
    最大のデメリットは、経営の主導権を握られてしまうことです。場合によっては、事業戦略を変更せざるを得ない状況に直面することもあります。上下の関係でなく横並びの関係でアドバイスする方針のVCもあります。向き不向きもあるので、VCの特徴などを事前に確認しておくことが大切です。

  • 資金回収のために、事業の方向性が変わることも
    VCの目的は、事業を成長させることによって出資した資金以上の売上を回収することです。そのため、事業の成長が見込めないと判断された場合、事業のピポット(大幅転換)を迫られることもあります。

まとめ

ベンチャーキャピタルと一言に言っても、近年ではその数も増え、種類も多様化しています。またスタートアップの企業の成長ステージによって出資を受けられる金額も変わるなど、仕組みは複雑です。もし、VCから出資を受けたいなら、事前にベンチャーファイナンス、法律のノウハウ・知識を身につけておくことが非常に重要です。この記事がそんな方のお役に立てれば幸いです。

ベンチャーキャピタルカテゴリの最新記事