厚生労働省が「働き方改革」を推進しており、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになりました。今回は、経営者の目線から見た働き方改革のメリット・デメリットを解説していきます。
特に、長時間労働に依存した経営スタイルをとっている場合には要チェックです。
ワークライフバランスを意識した働き方
そもそもなぜ厚生労働省は「働き方改革」を推進しているのでしょうか?
実は、日本は少子高齢化が進み、労働人口が減少し続けているのです。さらに、働き方として長時間労働や残業といった古くからの習慣が根付いており、政府はこれが生産性を低下させる要因になっていると考えています。
確かに、定時に帰れないことは当たり前で、残業や長時間労働に依存した経営をしているところもあることでしょう。
厚生労働省が掲げる目的の一つでもありますが、働き方改革のメリットとしてワークライフバランスを保てるということがあります。
長時間労働によって生産性が低下していることも事実ですが、生産性の向上や経済成長を追求すると、さらに生活の質が悪化してしまう可能性があるのです。そのため、労働者がより健康に、生活に満足しながら仕事ができるように根本的な働き方を見直そうという動きが高まっているといえます。
経営者の立場としても長時間労働によって従業員がうつ病・過労死といった事態に陥ることは避けたいものです。
家庭やプライベートも楽しむことができると、心にゆとりがうまれ、うつ病や過労死のリスクは減らせるでしょう。従業員の健康を守ることができる上、企業としても「ブラック企業」というレッテルを貼られることもありません。
これから入社してくる若者たちはいわゆる「さとり世代」と呼ばれ、安定志向・現実主義の考え方を持っていることが特徴です。実際、近年入社してくる従業員を見ていると、仕事とプライベートのバランスを取りたいと考えている人の多さが実感できます。
さとり世代の人々は働き方改革によって仕事を長期的に続けられる可能性があり、企業としても恩恵を受ける部分はあります。
もともと日本は長時間労働をしている割に、一人当たりの生産性が低いことが特徴でしたが、こうした状況を打開するために働き方改革は必要な一歩といえるでしょう。
従業員は賃金が「安くなる」と感じる
従業員の中には、これまで残業代を頼りに生計を立てていた人もいます。残業時間が短くなることによって、これまでと比べて実際に得られる月々の収入が低くなることを懸念する人もいます。
もともとボーナス残業をする習慣が根付いていれば残業時間に上限ができることは単純に喜べますが、しっかりと残業代が支払われていた場合には収入が大きく減るケースも出てくるでしょう。これまで残業ありきの給料をベースに生計を立てていた場合は、働き方改革によって収入そのものが安くなってしまうため従業員から不満が出る可能性もあります。
残業なしでは極端に給料が安くなってしまうなどの事態に陥らないよう、経営者としては給与体系や待遇を見直す必要に迫られる可能性があることを十分に考慮に入れましょう。
経営者としては従業員の労働時間あたりの報酬を増やす必要に迫られることもあり、デメリットに感じられることもあるかもしれません。今後はいかにして残業のない状態で業務の効率を上げ、生産性を高くしていくかがポイントとなります。
経営者目線でのデメリット
経営者の立場としては、厚生労働省が掲げる働き方改革では「残業上限規制」に罰則がついているため、違反があれば企業や担当者が書類送検される可能性もあります。
働き方改革によってブラック企業への評価がより一層厳しくなることが見込まれ、なた、残業の上限規制を守ることは企業の信頼にも関わってくる部分であることからも厳守しておきたいところです。
大手企業であれば残業時間を減らしても業務内容を工夫して対応できる場合も多いですが、中小企業の経営者にとってはハードルが高いと感じられるでしょう。さらに、残業時間の上限規制によって従業員に残業を頼めない状況になれば、経営者や管理職にある人が長時間労働を強いられたり、休日出勤しなければならない可能性があることも事実です。
従業員の残業時間が規制を超えないようにすることは必須であるため、最終的なしわ寄せは管理者にくることになります。そのため、働き方改革の前後で業務量を変えず、業務効率も見直さなければ、単純に考えても企業のトップの負担が大きくなることが見込まれるのです。
そうならないためには、上役にしわ寄せが来ないように業務自体の生産性をいかに上げていくかがポイントになります。
古い慣習にとらわれず、便利なツールやテクノロジーは積極的に導入し、業務の中の無駄を省いていくことが求められるでしょう。
働き方改革まとめ
労働人口が減少し、長時間勤務が当たり前となっている日本においては、働き方改革のような抜本的な改革が必要といえます。
働き方改革によって従業員が残業できる時間は限られてくるため、上役に負担がかからないよう可能な限り業務の生産性を上げることを考えて対応していくことをおすすめします。