財務会計と管理会計が実践的な経営に与える影響とは

財務会計と管理会計が実践的な経営に与える影響とは

たまに出てくる財務会計と管理会計が面倒…

恐らく社会人になって「うわっ、私学生の時よりも勉強してるかも……。」と思った方は多いはずです。

そして、社長になると「うわっ、勉強しないと経営できないじゃん……。」と実感している方も多いはずです。

特に社長が勉強すべきことは実践的な経営方法に関してです。そして実践的な経営を行うためには、基本的な会計周りの知識を持っておかなければいけません。

この「社長が見るブログ」を見つけた方もそんな勉強好きな方(皮肉?)かもしれません。

ところで、会計の用語を勉強するにあたり「財務会計」と「管理会計」という言葉がよく出てきます。「財務会計的には~~」「管理会計的には~~」のような形で。

「財務会計」と「管理会計」は以前説明をした際に以下の様にお伝えしていますが、これから実践的な経営を勉強していく社長にとって必ず覚えておいた方が良い概念でしょう。

会計と経理と財務の違いのまとめ

会計…お金に関する記録、計算、管理全般のこと。入出金の管理のこと。
管理会計…経営者や企業内部の管理者に対する情報提供を目的とする会計のこと。
財務会計…決算書等の会計情報を、企業内外に公表することを目的とする会計のこと。
経理…主にお金に関する情報を識別し、測定し、伝達するプロセスのこと。
財務…会計情報を元に会社の資金計画を立てたり、会計の流れとは別のお金の流れを生みだす行為(資金調達など)のこと。

参考:
会計と経理と財務の違いとは?意味と担う役割の図説

ということで今回は、「財務会計」と「管理会計」について詳しくお話したいと思います。

財務会計とは

上図を見るとわかる通り、経営の数字情報は「会計」と「財務」に分かれており、「財務会計」と「管理会計」は会計の中に含まれています。

そのため、財務会計と言われると「財務?会計?」と混乱してしまう方がいます。

財務会計とは、決算書等の会計情報を企業内外に正しく伝えることを目的とした会計のことです。つまり、公的に決められたルールに従ってまとめられた決算書の情報だということになります。

なぜ「財務会計」という名前なのかというと、営業活動の成果を損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの”財務諸表”として報告することを目的とした会計だからです。

管理会計とは

財務会計が会計情報を企業内外に正しく伝えることを目的とした会計に対して、管理会計は社内において経営者や管理者に対する情報提供を目的とする会計のことを言います。

社内のみで用いる会計情報であるため集計情報や出力形式のルールは特になく、各業務プロセス(現場など)からデータを集計・加工し、経営陣の現状把握と経営判断を行なうために使います。

例えば日次の売上報の集計や作業進捗から導かれる売上分析など、基本的には社長が見たい会計情報が好みでまとめられているものなので、管理会計のやり方にこだわりを持つ必要はありません。

日々”管理”が行われているため管理会計と言うのですが、会社経営を円滑に進めるために恐らくどの会社でも行っているはずです。

財務会計と管理会計の違い

財務会計と管理会計がどのように違うのかを押さえておきましょう。

財務会計と管理会計の違い1.情報提供の対象者

財務会計は社内外の利害関係者に情報提供するためのものですが、主に外部に対する情報提供に重きが置かれます。上場企業であれば株式市場の投資家、融資の際の金融機関、税務署などが考えられます。

財務会計は様々な角度からその会社を正しく分析する情報が揃っている必要があり、また、誰が見ても同一の情報と認識されなければいけないため、統一されたルールで公表されなければいけません。

対して管理会計はその会社が自分たちにわかりやすい角度で情報を収集・分析し、社内で共有するための情報です。

会社経営のあり方はそれぞれの会社によって異なり、重要視する営業手法や営業数値も異なります。その企業文化を明確に反映させるためには、統一されたルールで表現することは難しいのです。

財務会計と管理会計の違い2.使用方法

財務会計は過去の経営結果を数字で示すことで会社の評価をわかりやすく一覧化し、外部にどのような会社であるかを示す情報開示のために使います。つまり過去の結果を記録し、残していくという使われ方です。

対して管理会計は現場レベルで細かくセグメントされた個別性を有しており、収集した情報を基にタイムリーな経営の意思決定や将来の業務改善のために使います。つまり未来を予測し次の経営を考えるという使われ方です。

財務会計と管理会計の違いまとめ

さて、冒頭でお話した以下の内容、

「特に社長が勉強すべきことは実践的な経営方法に関してです。そして実践的な経営を行うためには、基本的な会計周りの知識を持っておかなければいけません。」

を踏まえて、財務会計と管理会計のあり方を以下の様に定義付けたいと思います。

—–
財務会計=基本的な会計周りの知識
管理会計=実践的な経営方法
—–

例えば実践的な会計学として有名なものは、「稲盛会計学」です。稲盛会計学は、稲盛和夫氏が「実際に会社で利益を出すためには、どの数字に注目して経営をすれば良いか」をまとめた管理会計の方法のことです。

参考:
稲盛会計学 | 稲盛和夫 OFFICIAL SITE

「社長は決算書を読めなければいけない!」と言っているのは、財務会計という基礎を応用して、自社にとって最適な管理会計に繋げなければいけないためです。つまり、

「実践的な経営を行いたいなら、まず基本的な財務会計を把握しろ!財務会計を把握したら、経営に活きる管理会計を作り上げろ!」

です。実践的な経営を行うための管理会計の考え方は非常に奥深いものなので、活用できそうな考え方を別途紐解きながらお話しをしていきたいと思います。

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