起業に必要な定款とは?提出前の実際の定款サンプル

起業に必要な定款とは?提出前の実際の定款サンプル

定款とは?

会社設立の記事でも書いた通り、起業には定款(ていかん)が必要です。

参考:
社長の初仕事は会社設立!起業手続きの8つの流れ

定款(ていかん)とは、社団法人(会社・公益法人・協同組合等)および財団法人の目的・組織・活動・構成員・業務執行などについての基本規則そのもの(実質的意義の定款)、およびその内容を紙や電子媒体に記録したもの(形式的意義の定款)である。また、社団法人とはいえないような特殊法人(日本銀行・日本放送協会等)の根本規則も定款と呼ばれる。

参考:
定款 – Wikipedia

では、定款には具体的にどのようなことを記載しなければいけないのでしょうか。実際に、提出前の定款を見ていきましょう。

定款の表紙

定款の表紙は非常にシンプルです。フォントの大きさなどは特に決まっていませんが、ワードなどで作成する際にはこのくらいの比率が良いと思います。

まず設立する会社名と設立日を記載します。

定款-1

第1章 総則

総則では、会社全体の内容である商号、目的、住所等に関して記載します。

定款の商号

第1条で会社名である商号を記載します。会社名を作るにはいくつかルールがあるので、こちらを参考にするとよいでしょう。

参考:
会社名を決める5つのルールとネーミングに使える5Iの法則
誤解されない会社名を付ける5つの考え方

定款-2

定款の目的

第2条には会社の目的を記載します。以前の会社法では、目的は非常に明確に書かなければ許可がおりませんでしたが、今はそこまで厳しく見られません。

ただし、会社の目的はその会社がどのような事業を営んでいるかを示すものです。会社の目的は謄本を取得すれば誰でも閲覧できるため、何を行う会社なのか目的をわかりやすく書いておきましょう。

定款の本店所在地

本店所在地は登記を行った場所です。事務所機能を持つビル内賃貸事務所だけではなく、社長の自宅やバーチャルオフィスでも構いませんが、賃貸マンションは使用目的が居住専用の場合があります。その場合、登記には、所有者や管理会社の承諾書が必要になります。

ちなみに、住所を省略して登記することはできませんが、アパート名、マンション名、ビル名などは省略できます。

第2章 株式

株式は発行株数や株式の取り扱い、金額などを記載します。

定款の発行可能株式総数

第6条の発行可能株式総数は、実際に発行する株式の10倍を書いておけば良いでしょう。特に決まりはありませんし、どうするのが良いということもありません。

定款の株券の不発行

株券の不発行とは、実際の紙で株券を発行しないという意味です。以前は株式会社は株券を実際の紙で発行していましたが、今は電子データで管理されているため不要です。

定款の株式の譲渡制限

第8条の株式の譲渡制限は、何を以って株式の譲渡売買を許可するかを決めます。通常は株主総会で良いでしょう。

第3章 株主総会

ここは株主総会の取り決めが書かれるところなので、規定通りの文言で良いでしょう。

定款-3

第4章 取締役および代表取締役

取締役や代表取締役に関する取り決めを記載します。

定款の取締役の員数

第21条の取締役の員数は、発起人の数+近い将来役員になると予測される人数を基に記載します。発起人が3人以下で取締役が3人以下ならば、3人以下、もしくは4人以下で十分だと思います。

定款-4

第5章 計算

事業年度や株主配当に対する取り決めを記載します。

定款の事業年度

第28条の事業年度は期首と期末を記載します。これまでの企業慣習では事業年度を4月1日から3月31日をに設定することが一般的でしたが、最近は上場企業でも9月通期決算や12月通期決算などが増えています。

参考:
会社はなぜ3月決算が多い?決算期の決め方と変更方法

どちらにしても、起業初年度はまるまる1年間を第一期とすることは少ないと思います。ただし、消費税の免税措置など、起業当初のメリットに事業年度が関係する制度もあるため、考慮に入れておきたいところです。

参考:
起業2期間の消費税免税は本当に得?メリットとデメリット
起業2期間きっちり消費税免税メリットを得る4つの方法

定款-5

第6章 附則

その他のことに関して記載します。

定款の設立の際に発行する株式の数

発行株式の数と1株あたりの金額を記載します。特に決まりはないためどのように設定しても良いのですが、1株あたり1,000円から10万円の間に設定するのが良いでしょう。

資本金は先に決めておくので、資本金額によって1株当たりの金額と発行株式を決定します。

参考:
株式会社設立費用の目安はいくら?資本金を決める4つの考え方

定款の最初の事業年度

最初の事業年度は、第28条の事業年度で決めた日付を参考にします。

定款の設立時取締役及び設立時代表取締役

設立時の取締役の名前を記載します。そして、記載された取締役の中から代表取締役の名前と住所を記載します。

定款-6

定款の発行人の氏名、住所、割当を受ける株式数及びその払込金額

設立時の取締役の名前を記載します。そして、記載された取締役の中から、代表取締役の名前と住所を記載します。

発起人とは起業時の株主のことです。日本では、取締役が発起人を兼ねることが多いですが、本来は別の役割を担います。資本金を出す人の名前、住所、株式数、金額を人数分記載します。

定款の最終文言

以上~の箇所は司法書士が作成している場合は、このように記載されます。

定款-7

定款の意味と提出前の実定款サンプルまとめ

最後に、日付と発起人の氏名、住所を書いて完了です。

定款作成を代行した場合は、代理人の住所、氏名、司法書士登録番号などが記載されます。

このように定款の作成はイメージよりも簡単です。

起業に難しいイメージがある方は、難しいと思う箇所を可視化してみましょう。

高いと思っていた起業のハードルが下がるかもしれません。

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