意外と高い新卒者離職率…2018年卒の傾向と対応策

意外と高い新卒者離職率…2018年卒の傾向と対応策

皆さんは新卒者離職率を下げるための対策をしていますか?

この記事は、新入社員の教育に力を入れたい社長に向けての情報です。
新卒者離職率は高い水準にあり、3年で3割がやめるとも言われています。入社した年に離職する新入社員も多く、特に5月から6月が分岐点となるため、この時期には企業側のフォローが不可欠です。

新卒者は、労働条件や人間関係などでネガティブな感情を抱き、離職することが多い傾向にあります。2018年卒の若い世代の特徴をふまえ、丁寧なヒアリングと具体的目標の提示によって、社員が働きやすい環境を整えていくことが大切になります。

この記事の要点はこの3つ!
1.新卒が離職する分岐点は5月から6月
2.2018年新卒者の傾向を分析
3.新卒者離職率を下げるコツ

では、さっそく見ていきましょう。

新卒が離職する分岐点は5月から6月

新卒者が1年未満に離職するのは、決して珍しいことではありません。入社して間もないタイミングだからこそ、不安や自信喪失、企業への不信感などを招きやすいのです。入社から1年未満での離職状況をグラフで確認していきましょう。

新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移引用元:http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000177659.pdf

こちらは新卒者離職率を表したグラフで、1年目・2年目・3年目の離職者を色分けしています。入社後3年以内の新卒者離職率は大学卒で約3割です。この数字が長い期間大きく変動していないことから、よく「3年で3割が離職する」と言われています。1年目でも1割を超える新卒者が離職している傾向にあり、新卒者を10人採用すれば、そのうち1人以上は入社した年に離職してしまうということになります。

実際に離職する人も多いですが、「仕事を辞めたい」と考えている離職予備軍ともいえる層を含めると、非常に多くの人が仕事に満足していないととらえることもできます。特に5月から6月頃は新卒者が退職を検討しはじめる時期であることから、ここが一つの分岐点になるといっても過言ではありません。

2018年新卒者の傾向を分析

かつてのように終身雇用の仕組みがなくなってきているとはいえ、就職して間もない新卒者が離職するのには、相応の理由があるでしょう。新卒者が離職する理由を挙げていきます。

[新卒者が離職する理由]
・心身の健康を損ねた
・労働時間や休暇の条件が悪かった
・人間関係が良くない
・やりたい仕事ではなかった
・仕事をする自信を失った

上記のように労働条件や人間関係などに関するネガティブな理由が多いことが特徴です。次に、実際に新卒から3年以内に離職した男女を対象とした調査結果を見ていきましょう。

「初めての正社員勤務先」を離職した理由(MA,性別,新卒3年以内離職者)引用元:http://www.jil.go.jp/institute/research/2017/164.html

男女ともに肉体的・精神的に健康を損ねてしまったこと、労働条件が合わないことが代表的な離職理由になっています。やはり心身の健康に関わる問題や、休暇のとりにくさや残業など労働時間に関わる不満があれば、離職につながってしまうのです。こうした状況は2018年卒の社員にも当てはまります。

また、産労総合研究所の「2018年度(平成30年度)新入社員のタイプ」によると、2018年卒の新入社員では、新入社員の過労自殺、各業界でのパワハラ事件などが報道されるなか、仕事に前向きになれない傾向も出てきています。また、ワークライフバランスを重視する若者が増えているため、心身の状態を健康に保ちながら、ゆとりを持って働きたい人が増えています。新卒者離職率が高まる原因を考えると、解決策もみえてくるでしょう。

新卒者離職率を下げるコツ

新卒者離職率を下げるためには、企業側も何が求められているのかを考えて対策していく必要があります。エン・ジャパンの調査によると、2018年新卒採用における適性テストで、新卒者の特徴が示されています。そのなかで、「丁寧なヒアリング」や「具体的目標の提示」が求められている実態が浮かび上がりました。

コミュニケーションの機会を作る

2018年卒の特徴として、協調性はあっても外向性が低いという傾向があります。周囲と同調することはしても、積極的に他者に質問したり、話しかけたりすることは少ないということになります。新卒者離職率を下げるためにも、会社側でコミュニケーションの機会を設けて働きやすい環境づくりを心がけたいところです。また、定期的なヒアリングを通して、コンディションの把握に努めることも大切でしょう。

目標はできるだけ具体的に

人との競争を好まない傾向があることから、社員の目標を個別に設定することが望ましいです。あいまいな指示は理不尽だと受け取られることもあるため、明確な目標を提示することがベターです。また、新卒者の離職理由には仕事への自信の低下といったものが含まれるため、達成したことを定量的に確認することで、モチベーションの向上を実現したいです。

また、新卒者離職率を下げるためには、まず「ブラック企業」と思われないよう、理不尽な対応はしないことが前提になります。経営者がブラック企業ではないと思っていても、見えないところでハラスメントや長時間労働が蔓延していないか注意する必要があります。また、経営者として社員の心身の健康を守るということは責務だと考えておきましょう。

まとめ

入社後、5月から6月は特に離職を検討する人が増える時期なので、入社後のフォロー体制は整えておきたいものです。2018年卒の新入社員は、協調性はあっても外向性が乏しいといった特徴があります。本音を拾えるような場の設定、目標の具体化によって、新卒者離職率を下げるようなアプローチをしてみてはいかがでしょうか。

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