社長が夢見る上場(IPO)!株式公開のメリットとデメリット

社長が夢見る上場(IPO)!株式公開のメリットとデメリット

上場を目指すならメリットとデメリットを理解!

上場して創業者利益を得たい!そう考える社長は多いでしょう。

もちろん創業者利益を得ることは起業社長の特権です。様々な苦労をして、決断をして、頭と体を酷使してきた社長にとって報われる一つの通過点だと思います。

ただし、上場には多くのメリットがある反面、デメリットもあります。メリットとデメリットをしっかり理解して、上場という1つの大きなポイントを目指してみましょう。

上場の基本事項に関しては、以下をご参考に。

参考:
5分で理解できる上場(IPO)とは?株式公開との違い

上場メリット1.大規模な資金調達ができる

上場会社の株式には市場の需要がなければいけません。つまり市場が株式を購入したいという需要がある会社のみが上場できる仕組みになっています(あくまでも上場時のおはなし……)。

そのため、無事に上場を果たした株式会社には、上場時の公募による時価発行増資だけでなく、新株予約権・新株予約権付社債の発行など様々な資金調達手段による円滑な資金調達が可能になります。

ちなみに、2007年から2014年までの8年間で新規の株式公開を行った株式会社は224社、その際の公募による平均資金調達額は約50億円です。

上場メリット2.銀行など金融機関と付き合い方が変わる

上場により金融機関からの出向を受け入れる場合があるので、金融機関との付き合いはこれまでよりも密になります。

もちろん銀行借入等の条件は未上場時よりも大幅に改善されますし、会社自体が株主のものになるため、借入に対する社長の個人保証が外れることになります。

上場メリット3.会社知名度が向上し宣伝効果が上がる

株式の上場は主に資金調達のために行われますが、知名度の向上を一番のメリットにあげる人たちもいます。

上場会社になれば新聞やテレビによる報道が増えますし、様々な媒体でのアピールが可能になります。

知名度が向上することで、会社に対する安心感と信頼度が増し、更なる顧客開拓にもつながります。

近年の上場であれば、ミドリムシの加工商材を扱うユーグレナは市場に大きな認知拡大ができたのではないでしょうか。ミドリムシの概念が変わった方も多いはずです。

上場メリット4.会社の知名度の向上によるリクルート効果

会社の知名度が向上することによるもう1つのメリットは、優秀な人材が集まリやすくなることです。

上場によって採用応募数は何十倍にもなるため、より会社の基盤が作りやすくなります。

例え地方の会社であっても、東大、京大など日本トップクラスの国立私立大学出身者から採用応募があるでしょう。

上場メリット5.社内管理体制の強化

厳密に言うと、社内の管理体制の強化は上場をしたから得られるメリットではありません。

上場をするためには、必ず社内管理体制を整えなければ行えないため、結果として整理された社内体制ができあがることになります。

決算書など業績情報の開示体制を整え、これまで曖昧だった管理体制は全ての組織を明らかにし、監査法人の監査や投資家など第三者チェックを受けることを前提に社内体制を強化しなければいけません。

上場メリット6.社員の士気の向上

株式会社の上場は、社員の士気向上にも大きな影響があります。

よくあるストック・オプション制度や昇給、雇用の安定化などの外発的動機付けだけではなく、上場という特別な社会的地位の会社に所属するため、自己実現欲求や自己尊厳欲求を満たす内発的動機付けにも繋がります。

外発的動機付け、内発的動機付け、自己実現欲求、自己尊厳欲求に関しては以下をご参考に。

参考:
利益が出る会社が行う社員モチベーションアップ3つの方法

上場デメリット1.株式公開にも上場維持にもコストがかかる

次に上場によるデメリットを見ていきます。

上場は株式公開をするときだけではなく、上場を維持するためにもコストがかかります。

上場準備、上場申請時のコスト

証券会社に対するコンサルティング費用:300万円~1,000万円
監査法人に対するコンサルティング費用:200万円程
信託銀行等に対する株式事務代行費用:100万円程
証券会社に対する上場株式引受手数料:公募価格による
証券取引所に対する上場審査費用、及び手数料:500万~1,500万円
証券取引城に対する年間上場料:50万~200万円
証券印刷会社に対する上場申請書類作成費用:1,000万円程

上場維持コスト

証券取引所に対する上場手数料:50~500万円/年
信託銀行等に対する株式事務代行費用:株数による/年
監査法人に対する監査費用:500万~1,500万円/年
証券印刷会社に対する上場申請書類作成費用:500万円程

上場に対する目に見えづらいコスト

上記のように決まっている費用以外にも、社内体制を整えるための費用や株主総会を行うための日程調整などの準備、会場の用意など、上場準備期間から上場し続ける期間ずっと年間数千万円規模、会社によっては数億円規模の費用がかかります。

さらに、優秀な人材が集まってくるため、人材維持のための給与コストも今までより上がることが予想できます。

上場デメリット2.買収リスクがある

誰でも株式が売買ができるということは、買収リスクが発生することもあります。

特に近年の日本の株価はようやく上がってきましたが、それまでは利益が出ている会社であっても異常に株価が安くPBR(株価純資産倍率)も1倍を割っている企業が多数ありました。

景気が良く、買い意欲が強い市場であれば需要が高まりますが、景気が悪く、買い意欲が弱い市場状態の場合は需要が薄れます。

良くも悪くも市場の需給バランスにギャップができることがあり、それが買収に繋がる可能性があるということです。

上場デメリット3.訴訟リスクがある

会社が株主の利益を損なう行為をした場合、訴訟になるケースがあります。これを株主代表訴訟と言います。

株主代表訴訟は上場会社に限った話ではありませんが、株主が多くなる分そのリスクは高まります。

株主や会社からの株主代表訴訟
まず株主や会社に金銭的損害を与えた場合は、株主代表訴訟という形で訴訟を起こされます。

基本的には、取締役に過失があろうとなかろうと、経営の責任者としての責任を負わなければいけません。

参考:
社長や取締役の経営責任とは?損害賠償責任と連帯責任

上場デメリット4.常に情報開示しなければいけない

上場会社は株式によって運営されているため、株主への情報開示が必須です。

決算書は、一定の株主に対しても報告義務があります。上場会社であれば、決算報告書の公開が必須であることはご存知だと思います。

参考:
決算書見せて!4つの開示義務と3つの任意開示

四半期ごとの定期的な情報開示や突発的な事態に対する報道での会見など、常に透明性を求められます。

また、多くの株主は会社の未来を見据えた判断を尊重することができず、短期的な結果を求める傾向があります。そのため、会社として舵取りが難しい局面があります。

起業社長が夢見る上場(IPO)のメリットデメリットまとめ

上記メリットには入れませんでしたが、創業社長であれば多くの株式を保有しているはずなので、創業者利益を手に入れることができます。

得られる創業者利益は場合によって異なるので、調べてみると面白いと思います。

さて、上場をすると他人資本で企業を経営するため、パブリックカンパニーと言われます。上場するということは、会社が創業者のものではなくなるということです。

この感覚が乏しいのが日本だと言われています。確かに「創業社長は株主の方を向いて経営していない!」なんて揶揄されることも多いです。最近で言うと、大塚家具や船場吉兆のマスコミ対応は酷いものでしたね。

もちろん、上場をしない選択もあれば、上場を取りやめる選択もあります。

飲食店経営のすかいらーくやアパレル企業であるワールドのように、上場にデメリットを感じた企業は自ら上場を取りやめています。

あくまでも上場は、市場から資金調達を行う手段の一つです。目指すも目指さないもあなた次第……。

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