利益を出し続ける会社は何がすごい?
利益を出し続ける会社は何がすごいと思いますか?ビジネスモデル?商品?市場性?優れた社長?
もちろんどれも会社に必要な要素ばかりですが、会社が利益を出すために一番必要な要素は優れた社員です。なぜ一番の要素が優れた社員なのかを説明します。
優れたビジネスモデルの場合
ビジネスモデルは必ず形を変えます。同じやり方で10年利益を出し続けることは非常に難しいことです。
もちろん優れたビジネスモデルは必要ですが、利益を出し続けるためには様々な改良や新しいビジネスモデルの開発が必要になります。
優れた商品の場合
優れた商品もビジネスモデルと同じです。10年売れ続ける商品を作ることは難しいでしょう。
優れた市場性の場合
何らかのイノベーションを起こすことは容易ではありません。世の中の社長が行っているビジネスのほとんどが、誰かが行っているビジネスと同じものです。
当たり前ですがブルーオーシャンはいつかなくなり、新しい発想やビジネスの転換点がやってきます。
優れた社長の場合
盛田昭夫 氏、本田宗一郎 氏、松下幸之助 氏、稲盛和夫 氏、孫正義 氏…日本人だけでも優れた社長は数々います。
もちろんここまで優れた社長であれば、全てを超越しているかも知れませんが、一般的に考えて……自分がなるのは難しいですよね。
優れた社員の場合
もしあなたの手足になって、時には頭になって一緒に仕事をしていける社員がいたら。
もし新しいアイデアを出し、一緒に考えてくれる社員がいたら。
あなたが考えたアイデアを形にし、完璧な商品を作ってくれる社員がいたら。
社長にとって、これほど心強いことはありません。
そして、そのような優れた社員は社長やそれに近いリーダーが育て上げるものだと考えます。
優れた社員を育てるためには、社員のモチベーションアップを重視し、社員が育つ環境を整える必要があります。
ではモチベーションとは、具体的にどのようなものでしょうか。
モチベーションとは
モチベーション(motivation)とは行動を起こすときの要因であり、目的を達成するために必要な動機付けのことです。
モチベーションは集団的な感情ではなく、人間1人1人個別の感情であるため、個人によってモチベーションアップを図る方法は違います。
モチベーションの逆の概念としてモラルがあります。モラルは、個別の感情ではなく、集団的な感情によって守ろうとする目的の要因を指します。
仕事におけるモチベーションとは
仕事におけるモチベーションには、大きく二つあります。
ひとつは、給与や報酬といった外部刺激によって生まれるもので、「外発的動機付け」と言います。
例えば、ボーナスの額が上がったことでやる気が増すといったメリットなどを指します。
もうひとつは、自分の中で幸せや達成感を感じて動機付けられることで、「内発的動機付け」と言います。
仕事で継続的に結果を残し続けるために大切なことは、内発的動機付けを自分の中で作り、維持し続けることです。自分でモチベーションアップができれば、自発的に頑張り続けることができます。
社長やリーダーが目指すことは、社員の内発的動機付けを作り、キープし続けることです。
そこで今日は、社員が自らモチベーションアップをし続ける「内発的動機付け」環境を作る簡単な3つの秘訣をお話します。
※組織の話なので、以下、社長をリーダー、社員を部下と読み替えてもOKです。
モチベーションアップの環境作り1.社員を褒める
社長にとって、社員を褒めることは非常に大切です。
人間の欲求は5段階層のピラミッドのように構成され、低階層の欲求を満たすと、高階層の欲求を叶えたくなるという心理があります。これをマズローの5段階欲求(マズローの自己実現理論)と言います。
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マズローの5段階欲求
第五階層:自己実現欲求
第四階層:自己尊厳欲求
第三階層:社会的欲求
第二階層:安全の欲求
第一階層:生理的欲求
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社員を褒めることは、第四階層の自己尊厳欲求を満たすことです。
第四階層の自己尊厳欲求は、かなり高次な欲求であるため、「今自分が取り組んでいる仕事が認められた!」と認識できるような環境を作ってあげなければいけません。
これにより、社員がモチベーションアップできれば、褒められた内容を基盤にして、社員自身が次の目標を定めることができるようになります。
そして、定めた目標を達成することで、五階層の自己実現欲求を叶えようとします。
褒めることが苦手な社長も多いとは思いますが、簡単なプロセスで社員のモチベーションアップに繋がるため、やらない手はないでしょう。
モチベーションアップの環境作り2.社員に期待する
ピグマリオン効果という心理的行動を知っているでしょうか。
ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、「人は期待された通りに成果を出す傾向がある」という現象で、特に教育心理学の分野において注目されている内容です。
1964年にアメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールは、教師の期待によって生徒の成績が向上すること示す以下の実験を行いました。
サンフランシスコの小学校で知能テストを行ない、知能テストの結果に関係なく無作為に生徒を選び、2つのクラスを作りました。
ある先生に「このクラスは知能テストの結果、将来必ず学力が飛躍的に伸びる生徒たちが集まっている」と嘘の証言をし、そのクラス担任にしました。
すると、知能テストの結果に関係なく無作為に選んだにも関わらず、生徒たちの学力は向上していきました。
もちろん実験結果に対する反論もありますが、生徒たちに期待をすることによって、教師の教え方が変わることはわかりますし、生徒が期待を感じ取れることもわかります。
教師を社長に、生徒を社員に置き換えても、期待をすることによってお互いの接し方が変わり、それがモチベーションアップに繋がることは容易に想像できます。
ちなみに、ピグマリオン効果とは逆に、教師が期待しないことで生徒の成績が下がることをゴーレム効果と言います。
モチベーションアップの環境作り3.社員の話を聴く
コミュニケーションが円滑な人とそうではない人で意思の疎通具合が違ってくることはおわかりだと思います。
社長が円滑なコミュニケーションを取るためには、まず社員の話をしっかりと聴くことです。
コミュニケーションは3階層に分かれるという話があります。これは、株式会社三菱総合研究所・経営コンサルティング本部・主席研究員の佐藤敦氏の考え方です。
①あいさつや軽い雑談
最も浅いのは、あいさつや軽い雑談、話し合いです。パーティー等で知り合って、その場で名刺交換し、互いを知り合うような場面や職場内で仕事の合間の雑談です。②協働・相互啓発
協働や相互啓発、つまり一緒に働き、学び合い、助け合うことです。このコミュニケーションができていれば、いざという時に強く、日常的に相互成長を引き出せます。③悩み・ストレスの相談
最も深いコミュニケーションとは、プライベートな悩みやストレスも含めた相談ができることです。つらいときに支え、一歩踏み込んで個人の悩みまで話せる家族のような職場では、メンタルヘルス不調は起こりにくいのです。参考:
ビジネスの鉄則 ナンバー経営心理学 – コミュニケーションにまつわる真理-ビジネスの鉄則 ナンバー経営心理学(7)|人事のための課題解決サイト|jin-jour(ジンジュール)
コミュニケーションの階層を上げていくためには、「聞く」ではなく「聴く」ことが重要になります。
聞くと聴くの違い
ただ単に「きく」場合は一般に「聞く」を使い、注意深く(身を入れて)、あるいは進んで耳を傾ける場合には「聴く」を使います。「音楽を聴く」「講義を聴く」
つまり相手に興味関心を持ち、注意深く話をきくことが「聴く」です。
コミュニケーションの階層が上がれば、意思の疎通ができるようになり、社員にとって褒められることや期待されることの重要性が増すことに繋がります。
社員モチベーションアップ3つの方法まとめ
優秀な社員とは、社員自身が社長の意図を汲み取って、会社の利益に繋がる行動を自発的に取る社員のことを言います。
もちろん、その行動自体が社員の目的になり、自己実現欲求を満たすものでなければいけないでしょう。
つまり、会社組織に所属している人間全てが、自分の行動に満足する環境を作り上げれば、利益を出し続ける会社を作れるというわけです。
そして、その根底にあるのが社員のモチベーションアップであり、社長のモチベーションアップを促す「内発的動機付け」の環境作りなのです。
とても簡単な事ですので、ぜひ今から始めてみてはいかがでしょうか。