会社はなぜ3月決算が多い?決算期の決め方と変更方法

会社はなぜ3月決算が多い?決算期の決め方と変更方法

法人の決算月は3月が多い?

あなたの会社の決算月は何月ですか?

一般的に企業の決算月は3月が多いイメージがありますが、決算月に制限があるわけではありません。たとえば、2010年の法人決算状況を見てみると、以下の様になっています。

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04月 187,532社(7.3%)
05月 215,255社(8.3%)
06月 249,923社(9.7%)
07月 198,730社(7.7%)
08月 229,755社(8.9%)
09月 283,769社(11.0%)
10月 114,282社(4.4%)
11月 78,168社(3.0%)
12月 256,748社(9.9%)
01月 88,684社(3.4%)
02月 171,114社(6.6%)
03月 508,301社(19.7%)
合計 2,582,261社
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参考:
決算期別の普通法人数|国税庁

3月決算が多いことは予想できると思います。続いて半期である9月決算、さらに四半期である12月決算と6月決算も多いことがわかります。

全体見ると極端に少ない決算月はなく、最も少ない月で11月の3.0%なので、日本企業の決算月は意外なほどバラけているようです。

では、実際に起業して決算月を決める際は何を基準にして決めれば良いのでしょう。また、一度決めた決算月や決算期は変えられないのでしょうか。

今回は、決算月を決める方法や決算月を変更する手続き方法についてお話したいと思います。

決算月を決める方法1.公的機関の予算編成に合わせる

公官庁など公的機関の予算編成期間は4月から翌年3月までと決まっています。そのため、国や地方公共団体からの仕事の発注は3月末~4月が多くなります。

公的機関との取り引きが多い企業は3月決算が多いはずです。3月決算が多い理由は次の3種類が考えられます。

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1.年末から年始にかけて決算月を設定することで、期首の売上を大きくするため
3.初夏から夏にかけて決算月を設定することで、期末の売上を大きくするため
3.取引先に考えを合わせた方が予算組しやすいため、決算月を3月にするため
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企業も公的機関と同様、決算日までの年間予算を立てますが、公的機関は予算枠や支払いサイトなどがある程度決まっていて予想ができます。

そのため、公的機関との取り引きが多い企業は、決算月を合わせた方が健全な経営がしやすくなります。

決算月を決める方法2.税法の改正時期で考える

税法の改正時期は、ほとんどが4月からです。

もし、会計年度の途中で経理処理の方法が変わってしまうと、数字にかかわる作業が煩雑になってしまいます。

そのため決算月を3月、起首を4月に合わせることで、経理処理の手間をなるべく省くことができます。

決算月を決める方法3.資金繰りの観点で考える

会社経営でもっとも重要な資金繰りの観点から決算月を考えると、売上が大きいと予想できる時期前に決算月を設定すると良いでしょう。

資金繰りは、キャッシュフローを把握することで行いやすくなります。そのため、利益をうまく投資に回して、営業効率を最大化しなければいけません。

もしも、売上と利益が大きい時期の少し後に決算月があると、うまく投資をする前に税金でキャッシュが消えてしまう可能性があります。

参考:
営業・財務・投資を8分で理解するキャッシュフロー計算書の見方

決算月を決める方法4.業務の繁忙期を避ける

こちらも売上に関係するお話ですが、業務の繁忙期を避けて決算月を決める方法があります。

法人税の申告期限は決算期末から2か月間です。決算を体験している社長であればわかると思いますが、決算処理は意外と面倒です。

なぜなら、必要決算書類の整備や納税にかかるキャッシュの用意が必要になるためです。

そのため、業務の繁忙期と決算処理時期が重なってしまうと、どちらかに支障をきたす可能性があります。

決算月を決める方法5.税理士の繁忙期を避ける

決算処理時期に、社内や税理士とのやり取りで双方に時間があるかどうかも重要です。

決算報告書の作成を税理士に依頼する場合には、税理士側の繁忙期を避けると社外調整がスムーズになります。

もちろん、税理士が抱える顧客は3月決算が多いはずです。そのため、自社の決算対応を十分に行ってもらういのであれば、1月~5月を避ける考え方が有効でしょう。

決算月を決める方法6.商売の通例から考える

もしも3月ではない場合の決算月は、3月を軸にした半期(9月)、四半期(6月、12月)決算が次の決算月候補になります。

これは「公的機関の予算編成に合わせる」という考え方と同じです。

商売の通例で決算月を決めている会社が取引先に多ければ、取引の考え方をお互いに合わせやすくなります。

決算月を決める方法7.ゲン担ぎから考える

会社経営は、ときには難しく考える必要はありません。あなたが運が良いと思えば運が良くなりますし、縁起が良い方法を決めればそれがゲン担ぎにつながります。

もしあなたが縁起が良い数字を決算月にすることでモチベーションアップに繋がるのであれば、積極的に採用しても良いでしょう。

何らかのゲン担ぎによる資本金額の決定があなたのモチベーションアップに有効なのであれば、資本金が例え1,000万円であろうが、1,111万円であろうが問題はありません。

参考:
1000万円以上?999万円以下?資本金を決める3つの考え方

決算月変更をする場合の手続き

決算月の変更は「事業年度の変更手続き」で行います。

事業年度を変更したい場合は、株主総会の特別決議を経て「定款」を変更しなければいけません。ただし、事業年度変更は登記事項ではないので、登記手続きは不要です。

事業年度変更の手順は以下の通り。

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1.株主総会の特別決議

2.定款の「事業年度」を変更したい事業年度に変更

3.行政機関(税務署等)へ異動届出書を提出
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異動届出書には、変更後の定款コピーと株主総会の議事録を添付します。ちなみに、株主総会に関しては以下をご参考に。

参考:
中小企業も必須!株主総会開催手順と終了後の手続き

決算月を決める方法と事業年度変更手続きまとめ

こうして決算月を決める方法を見てみると、改めて3月決算が多い理由がわかります。

もし決算月を迷っている社長がいるなら、日本の商習慣にならって決算月を3月にすることが一番楽ですし、確実だとは思います。

ただ、法人にはそれぞれの特徴があります。あなたの企業がよりメリットがあるように考えて、決算月を設定するようにしましょう。

もちろん、決算月を変えることは難しくありません。月次決算を税理士に任せているのであれば、うまく調整もしてくれるでしょう。

決算月を変えるデメリットは企業によって変わります。こちらも顧問税理士に聞けば、あなたの会社に合わせたアドバイスをもらえるはずです。

たとえば、以下のようなことです。起業当初であれば、消費税免税事業者であるかどうかは1つの損得要素になるので、こちらもよく考えて決算月の変更を行うようにしましょう。

参考:
起業2期間の消費税免税は本当に得?メリットとデメリット
起業2期間きっちり消費税免税メリットを得る4つの方法

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